体系 |
実体法 |
用語 |
数値限定を伴う発明の効果 |
意味 |
数値限定を伴う発明の効果は、その数値限定の意味合いや効果の程度を考慮に入れて評価されます。
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内容 |
@発明特定事項を数値範囲により数値的に表現した発明は、数値限定の発明と呼ばれます。
Aおよそあらゆる技術、例えば食材を加熱して調理したり、反応物質に或る量の触媒を添加して反応を促進したり、といった技術は、ある数値条件の下で行わなければ、所定の発明の効果が得られないのが通常であり、技術者が所定の技術を適用するべき数値範囲を実験的に確認しようとすることは当たり前のことです。
B従って単なる数値範囲の最適化は、基本的に当業者の通常の創作能力の発揮であり、引用発明と特許出願に係る発明との相違点が数値限定にのみあるときには、進歩性が認められるチャンスは少ないと考えられます。
Bしかしながら、他に進歩性を推認する別段の事情がある場合には、この限りではありません。具体的にはある製品(例えば半導体)の材料の純度が高いほどに性能が向上するという技術常識とは正反対に一定量の不純物を意図的に加えることで性能の向上が高まる場合、効果の顕著性が認めされるので、十分に進歩性が認められます。
Cさらに、数値限定により異質の効果を発揮する場合には、特許出願人は進歩性を主張できます。
Dさらにまた、同質の効果であっても量的に顕著な効果を発揮する場合にも、特許出願人は進歩性を主張できます。
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留意点 |
上記Dの場合には、特許出願人が指定した数値範囲全体の全体において顕著な効果を発揮しなければなりません(昭和54年(行ケ)114号)。
→数値範囲の臨界的意義
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