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@後願を排除する地位とは、発明を奨励する趣旨から特許出願人の保護手段として認められるものです。より詳しく言えば、技術の累積的な進歩により産業の発達に貢献するために、いち早く特許出願をした者を有利に取り扱うために、先願主義(複数の特許出願が同じ発明について競合した場合に最先の特許出願人に独占排他権を与える主義)を採用するとともに、先願者に後願排除の地位を与えることとしています。
Aしかしながら、特許を受ける権利を有しないのに特許出願をした冒認者については、そもそも保護を与える理由がないので、従来、先願の地位が認められていませんでした。
Bしかしながら、平成24年の改正により、真の権利者は、冒認出願に係る特許権を移転請求権の行使により取得することが可能となったために(74条)、仮に冒認出願に先願の地位を認めないとすれば、真の権利者は、冒認出願の公開から6月経過するまでの間に自らも同一の特許出願をし、新規性喪失の例外の手続をすることで、同一の特許権を取得できるという事態が生じ得ます。
C法律は、同一発明に対するダブルパテントを嫌いますので、74条の改正に伴って、冒認出願について先願の地位を認めました。
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