体系 |
実体法 |
用語 |
先願主義の協議 |
意味 |
先願主義の協議とは、同一の発明について2以上の特許出願(又は実用新案登録出願)がある場合に特許を受けることができる一人の出願人を決めるために行う協議をいいます(39条6項)。
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内容 |
@先願主義の下では、同一の発明について異なる日に特許出願があったときには、先の出願をした者がパテントを取得します。しかしながら、同日に特許出願をした場合には、どうするのかという問題があります。
同日中の時刻まで問題として、先に特許出願をした者を権利者とするというのが自然ですが、それをするのは、手続があまりにも煩雑となります。
商標法では、同日の出願の場合にはクジで権利者となるものを定めるという扱いですが、特許出願の場合には、研究開発に多くの資金と時間がかかっており、その成果をクジに委ねるのは、特許出願人にとって、あまりにもばくちが過ぎます。
クジなどに委ねるくらいならば、双方の特許出願を拒絶する方がまし、パテントは取得できなくても、自分の実施はできるというのが一番穏当です。
しかしながら、法律は、双方の出願を拒絶する前に、特許出願人で話し合う機会を与えることにしました。これにより、一方の特許出願を2者の共願をすることで、他方の特許出願を取り下げるとか、一方の特許出願人が金銭を支払って、他方に出願を取り下げてもらうとか、私的自治による解決を目指すことができるからです。
→私的自治とは
A特許庁長官は、同一の発明について2以上の特許出願が同日に行われていると認めたときには、相当の期間を指定して協議を行いその結果を届け出るべき旨を両特許出願に関して協議指令を出します。
B協議が成立せず、または届出がない場合には、特許出願人は、その発明について特許を受けることができません。
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留意点 |
Aに関して、同日に係る特許出願の一方が審査中で、他方について未だ審査請求が行われていないときには、一方の特許出願について、他方の出願について審査請求が行われていないので、審査を進めることができない旨の通知が行われます。そして、他方の特許出願について審査請求が行われ、協議命令を出すことができるようになるまで、一方の出願は審査がストップした状態となります。
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