体系 |
特許申請及びこれに付随する手続 |
用語 |
特許出願の放棄 |
意味 |
特許出願の放棄とは、出願手続の後に、出願人自らが特許を受ける権利を放棄することをいいます。
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内容 |
@特許を受ける権利は、財産権として、権利者が放棄することが可能です。特許出願をした後に上記権利を放棄することを、特許出願の放棄といいます。
A特許出願を放棄するときには、庁に対して出願放棄書を提出する必要があります。
権利放棄の意思を書面で明らかにするためです。
B特許出願の放棄とは別に、法律上、出願の取下げという概念がありますが、これは、その出願の手続に関して、特許の付与を求める意思を撤回するという行為であり、特許を受ける権利の放棄という意味はありません。
C平成10年の改正前は、特許出願の放棄は、先願の地位を残したままで特許出願の効果を失わせるという意味があり、後願排除の目的でよく用いられました。しかしながら、上記改正により、特許出願が放棄されたときには39条第1項から4項までの規定(先願主義)に関しては、その特許出願は初めからなかったものとする、という規定に改正されました。すなわち、先願主義の適用に関する限り、特許出願の放棄と取下げとに違いはなくなりました。
D特許庁の工業所有権逐条解説によると、平成10年の改正により、特許出願の放棄と取下げとの2つの手続を併存する必要はないとの意見も生じようが、概念上は異なる手続であり、今後も特許庁に対して二つの手続がされることが予想されるため、条文に取下げと放棄とを列記した、と記載されています。
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留意点 |
Dに対して、例えば特許出願の願書に優先権の主張をすることを失念した場合を想定します。同日中にミスに気づいて、最初の特許出願を取下げるとともに、優先権を主張して再度特許出願をしたとします。この場合には、出願人は特許を受ける権利を放棄するのではないので、出願を取り下げることになります。
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