内容 |
①工業所有権の保護に関するパリ条約は、条約の適用を受ける国の国民(内国民)と同一の条件で同一の保護を外国人に与えるという原則(内国民待遇の原則)を定めるとともに、どうしても必要な事柄に関して外国人にのみに適用することができる条件を定めています。その一つが“工業所有権に関する法令上必要とされる住所の選定又は代理人の選任”であり、我国において、これに該当するの特許管理人です。
②在外者は、政令に定める場合を除き、特許管理人によらなければ、この法律による手続及び行政庁がした処分を不服とする訴えをすることができません。
「この法律による手続」とは、例えば、特許出願・実用新案登録出願、審査請求、意見書・補正書の提出などです。
仮に外国から直接庁に対して特許出願が行われ、それに対して、例えば補正指令や拒絶理由通知などを外国にいる特許出願人に直接行わなければならないとすると、その特許出願の処理が途方もなく大変になるからです。
③本条の特則として、在外者である国際特許出願人は、所定の時期(国内処理基準時)まで限り、特許管理人によらないで手続をすることができるという定めがあります(184条の11第1項)。
PCT上の要請により、在外者が翻訳文の提出などを直接行えるようにするためです。
④なお、従来は特許管理人を役所に登録しなければならないと定められていましたが、平成8年改正で、特許管理人の登録制度が廃止されました。
⑤特許管理人は、一切の手続及び行政庁がした処分を不服する訴訟に関して本人を代理するものとされています。
「一切の手続」には、特許出願の取下げ、審判請求の取下げなどのいわゆる不利益行為が含まれます。このように在外者の代理人は包括的な権限を有するため、通常の代理人と区別して「特許管理人」という特別の名称で呼ばれます。
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