内容 |
①特許出願をしても審査官が特許をすることができない理由(拒絶理由)を発見したときには、拒絶理由通知が届きます。初めて特許出願をした方は、拒絶理由通知が来ただけで悲観的になってしまいがちですが、これは、必ずしも“特許の可能性が全くない”という意味ではありません。審査官の見解に対して反論できる場合もあり、見解を受け入れつつ、拒絶理由を回避する途を探すことができる場合もあります。1度くらい拒絶理由通知を受けることは当たり前と考えて、落ち着いて対応することが重要です。
②拒絶理由通知には、複数の拒絶理由が同時に来ることがあります。一つでも対応し損なうと、特許出願は拒絶査定になるものと考えて、全てにきちんと対応することが必要です。現在の拒絶理由通知の様式では、拒絶理由通知の冒頭に拒絶理由を列記することになっていますので、留意してください。
〈具体例〉 理由
1.(発明の単一性) この出願は下記の点で特許法第37条に規定する要件を満たしていない。
2.(明確性) この出願は、…下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
3.(進歩性) この出願の下記の請求項に係る発明は、…となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
③平成27年4月以降の拒絶理由通知は、上記の如く拒絶理由通知の冒頭の条文の始めに、(進歩性)などの如く理由の簡易表記をしています。内外の特許出願人がすぐに拒絶理由の内容を把握できるようにするためです。
④特許出願が発明の単一性を欠いている場合には、拒絶理由通知の冒頭には発明の単一性が最初に記載されます。この拒絶理由が来たときには、特許出願の請求の範囲に記載された発明の一部が審査されていないということだからです。早期権利化を希望するときには、直ちに適切な対応(分割出願など)をすることが必要です。審査を行っていない請求項は拒絶理由通知に明記されます。
⑤拒絶理由の様式は、概ね次のような構成を採ります。発明の単一性の拒絶理由をあるかどうかを確認した後では、拒絶理由がない請求項の表記を確認して下さい。
冒頭の拒絶理由の列記→記(拒絶理由の説明)→拒絶理由がない請求項の表記
⑥特許出願人の補正により通知しなければならなくなった拒絶理由を通知するときには、「最後の拒絶理由」である旨の通知が行われます。
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