内容 |
①審査基準では、「技術的意味」とは2つの意義で使用されています。
②第1の意義は、当該事項の意味内容ということです。用語の定義などです。
(イ)用例として次の文章を挙げます。
「発明の要旨の認定、すなわち特許請求の範囲に記載された技術的事項の確定は、まず特許請求の範囲の記載に基づくべきであり、その記載が一義的に明確であり、その記載により発明の内容を的確に理解できる場合には、発明の詳細な説明に記載された事項を加えて発明の要旨を認定することは許されず、特許請求の範囲の記載文言自体から直ちにその技術的意味を確定するのに十分といえないときにはじめて詳細な説明中の記載を参酌できるにすぎないと解される。(平
4年(行ケ) 116)」
(ロ)意味内容としての技術的意味が分からないときには、請求項の明確性を書くことになり、それ自体で特許出願の拒絶理由となります。
第2の意義は、当該事項を発明特定理由とした理由ということです。当該事項によって生ずる作用・効果、数値限定の臨界的意義などです。
(イ)用例として次の文章を挙げます。
「『特定の数式Xの特定の数値範囲で特定される着色用粉体』(特定の数式Xは、単に得られた結果として示されるのみであり、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識を考慮しても、その技術的意味を理解することができない。ただし、明細書中に、その技術的意味を理解できる程度にその数式を誘導した過程及びその数式の数値範囲を定めた理由等(実験結果から求めた場合も含む)が記載されていれば、技術的意味が理解できる場合が多い。」
(ロ)特定事項を発明特定事項とした理由としての技術的意味が分からなくても、ただしに、特許出願の拒絶理由とはなりません。しかし、当該事項が設計的事項として扱われる傾向があり、その結果として進歩性を否定される傾向があります。
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