パテントに関する専門用語
  

 No:  389   

特許出願の要件/発明/確実性

 
体系 実体法
用語

結果としての利用

意味  結果としての利用とは、発明の成立条件としての自然法則の利用は、結果として利用されていれば足り、発明者が発明成立に必要かつ十分な条件を正確に認識している必要はないということです。
自然法則の利用


内容  発明者は、自分の発明に利用されている発明を正確に理解している必要はなく、結果として利用していれば足ります。

A第1に、発明の成立要件の認識が不完全であり、要件でないものを要件と誤認していても構いません。

 特許請求の範囲に構成要件A+B+Cが記載されており、結果としてCは不要であったとしても発明は成立します。

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B第2に、その自然法則は経験的に知り得たものでも構いません。

先使用権の成立の認定に関して、“その発明がその際既にまとまったものとして完成していたこと、先使用者は右発明思想、殊に課題解決の手段を構成する外部的因果関係を経験的に把握し、右発明思想に対し事実的に支配可能の状態にあったことが必要であると解すべきである。しかしながら、右外部的因果関係を学理的に理解していることまで要求されるものではない。”と判示した事例があります(昭39年(ヨ)1664号〔熔融アルミナ事件〕)。

C第3に、発明者が一定の構成により効果が発揮される理由(自然法則)を理解しておらず、単に一定の構成とすると一定の効果を認識していただけでも構いません。

他の裁判例で“明細書には発明の目的、構成、効果を記載すれば足り、構成から効果が生ずる理由は必ずしも記載する必要がない”と判示した事例があります(昭59年(行ケ)11号「プリント配線板」事件)。これは、特許出願に係る発明の原理に関して一方の当事者(特許出願人)がした説明に対して、そうした原理は明細書に記載されていないと他方が反論したことへの裁判所の見解です。


留意点 Aに関して、発明の成立性の問題はともかくとして、特許請求の範囲に不要な要件が記載されていれば、権利範囲は当然狭くなります。特許出願をした後に不要な要件を補正で削除できるとは限らないため、特許出願をするときに発明の構成要件をよく吟味する必要があります。


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