内容 |
①進歩性審査基準によると、技術常識とは、当業者に一般的に知られている技術(周知技術、慣用技術を含む)又は経験則から明らかな事項をいいます。
②進歩性の判断における請求項の発明の認定は、請求項の記載通りに行うのが原則であり、請求項に記載された一部の要件を無視してはいけないし、また請求項に記載されていない要件を勝手に追加してもいけません。しかしながら、明細書の記載や技術常識を参酌して、請求項に記載した用語の意味を解釈することは禁止されていません。また技術常識は、特許出願の請求項中の用語の解釈だけでなく、引用文献中の用語の意味の解釈にも用いることができます。
③しかしながら、徒に技術常識を拡張して、引用文献の用語の意味を上位概念化することは、避けなければなりません
④またいわゆる後知恵(ハインドサイト)との関係において発明の課題の上位概念化が問題となる場合があります。
(イ)本願発明は、ある物(例えばフィルター)を廃棄する際に金属部分と非金属部分とを分別するために両者を容易に剥離できるようにするものであり、他方、引用発明は、その物全体を廃棄するに際して取付箇所との着脱を容易にするものであったとします。
(ロ)両者の課題を、例えば“フィルターの廃棄”という上位概念化された課題において共通すると結論すると、ハインドサイトとなる可能性があります。
(ハ)何故なら、発明の課題とは創作の出発点となるものであり、創作の方向性を決める程度に具体的なものでなければならないからです。
(ニ)そういう意味では、上述のような課題の上位概念化をしたとすれば、特許出願を拒絶するための事後分析的な対応と考えられるのです。。
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