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@preambleの記載の意義
米国特許出願に関する規則[U.S. Rule 75(e)]では、“事案の性質が許容するときには…”従来技術を記載したpreambleと、発明の改良点を記載した部分(ここではbodyという)で記載するべきであること、そしてpreambleには、従来技術又は公知技術の全ての要素又はステップを記載するべきことが記載されています。
Apreambleの記載の問題点
(a)しかしながら、米国特許出願の実務では、例えば欧州への特許出願と比較して、Jepson claimのクレーム形式が採用される頻度は多くありません。それはpreambleを巡って特許出願の審査や権利解釈において難しい問題があり、特許出願人にとって扱いにくい書き方だからであると考えられます。
(b)例えば先行発明(A+B)が存在して発明(A+B+C)を特許出願する場合に、“A+BからなるXにおいて、Cを有することを改良点とするX”という記載をした場合に、当該特許出願の新規性・進歩性(非自明性)の審査においてA+Bの部分はあまり評価されないと予想されます。
しかしながら、特許出願人にとっては、単純に先行技術と比較してA+Bは古い技術、Cは新しい部分と解釈されると困る場合があります。例えばB+Cのコンビネーションにより従来にない作用・効果が発揮される場合です。
MEPE(日本の進歩性審査基準に相当するもの)2129では、特許出願人がpreambleに記載した事項(preamble element)は古い技術であることを暗示的に認めたもの(impliedly admitted to be old in the art)とされるが、それは単なる暗示的な承認に過ぎない(it is only implied admission)としています。従って、そうではないと特許出願人が主張すればよいのでしょうが、それならば最初からJepson claim の形式は避けた方が無難です。
(c)またpreambleの記載事項は、書き方次第では、権利解釈のときに実質的に発明の範囲を限定しないものと扱われる可能性があります。
→preambleの解釈
Bpreambleの書き方
(a)上述のようにpreambleの記載は、特許出願の審査において新規性・非自明性において重視されない傾向にありますので、preambleを記載するときには、できるだけ簡略に記載し、重要なことはbodyに記載することが望ましいと言われています。
(b)また日本の特許出願に基づいて米国特許出願を行うときには、日本の特許出願の明細書に「…において…」という書き方をしていると、Jepson claimの形式に翻訳される可能性が高いので、それで困るときには、別の記載方式を指定するべきです。
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