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667
一応の合理的な疑いを生じる場合(進歩性)/新規性進歩性審査基準/特許出願 |
体系 |
実体法 |
用語 |
一応の合理的な疑いを生じる場合(進歩性) |
意味 |
特許出願の進歩性の判断において一応の合理的な疑いを生じる場合とは、特許出願人が特定した物の発明が物の構造以外の発明特定事項で特定されているために、進歩性の判断である発明特定事項の対比を厳密に行うことができない場合に、そうした厳密な対比を行わずに引用発明に開示されている物と類似である旨の一応の合理的な疑いを以て進歩性を欠如している旨の拒絶理由通知を発することができる場合をいいます(新規性・進歩性審査基準)。
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内容 |
①特許出願人の物の発明が引用発明のものと類似であって進歩性の欠如が疑われる場合の意義
(a)例えば特許出願人の物の発明が要素A+B+Cからなり、引用発明に開示された物が要素A+B+C’
+Dからなるときに、通常の進歩性の判断の手順では、相互に対応する発明特定事項同士を比較し、さらに要件Dの付加に技術的困難性があるかどうかを特許出願時の技術常識を参酌しつつ進歩性を否定する論理の構築を試みます。
(b)しかしながら、要件Dの付加が単なる慣用技術の付加に過ぎなくても、特許出願人が発明特定事項として要件Cが物の構造の作用であり、他方、引用発明に開示された要件C’が物の構造(同様の作用を生ずるもの)である場合に、審査官としては類似の物)ではないかという疑いを持ちつつも、そのように断定するには至らない場合があります。
(c)また特許出願人の物の発明が要素A+B+Cからなり、引用発明に開示された物が要素A+B+C’からなるときに、要件Cと要件C’とが同一物とまで断定できなくても類似の物(均等物)に過ぎないのではないかという疑いが持たれる場合があります。
(d)そうした場合に審査官が厳密な対比を行わずに進歩性欠如の合理的な疑いを以て特許出願人に拒絶理由を発することが許されます(進歩性審査基準)。
(e)但し、こうした扱いをしてはならない場合も進歩性審査基準に規定されていることに留意する必要があります。
→合理的な疑いを生じない場合(新規性・進歩性)
②特許出願人の発明及び引用発明の類似性に一応の合理的な疑いを生ずる場合の具体例
(a)特許出願の請求項に係る発明の機能・特性等が他の定義又は試験・測定方法によるものに換算可能であって、その換算結果からみて請求項に係る発明の進歩性否定の根拠になると認められる引用発明の物が発見された場合
(b)請求項に係る発明と引用発明が同一又は類似の機能・特性等により特定されたものであるが、その測定条件や評価方法が異なる場合であって、両者の間に一定の関係があり、引用発明の機能・特性等を請求項に係る発明の測定条件又は評価方法により測定又は評価すれば、請求項に係る発明の機能・特性等と類似のものとなる蓋然性が高く、進歩性否定の根拠となる場合
(c)特許出願後に請求項に係る発明の物と同一と認められる物の構造が判明し、それが出願前に公知の発明から容易に発明できたものであることが発見された場合
(d)本件特許出願の明細書若しくは図面に実施の形態として記載されたものと同一又は類似の引用発明であって進歩性否定の根拠となるものが発見された場合。
例えば、特許出願人が実施の形態として記載された製造工程と同一の製造工程及び類似の出発物質を有する引用発明を発見したとき、又は実施の形態として記載された製造工程と類似の製造工程及び同一の出発物質を有する引用発明を発見したときなどです。
(e)請求項に係る発明の、機能・特性等により表現された発明特定事項以外の発明特定事項が、引用発明と共通しているか、又は進歩性が欠如するものであり、しかも当該機能・特性等により表現された発明特定事項の有する課題若しくは有利な効果と同一又は類似の課題若しくは効果を引用発明が有しており、進歩性否定の根拠となる場合
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