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682 Close
termとは/特許出願(外国)/発明の効果 |
体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
Close termとは(特許出願の) |
意味 |
Close termとは、特許出願のクレームの前半部及び後半部との間の接続句(Transition term)であって、後半部に挙げた構成要件以外の事柄が発明の構成に入ることが許されないものをいいます。
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内容 |
①特許出願のClose term の意義
(a)Close term
はTransition termの一種であり、例えば“consist of”(から成る)が該当します。
(b)例えば“AとBとCとを有するX”(“X consts of A,B,andC.”)という書き方をしたときに、A、B、Cのみからなるのが発明の範囲であり、A、B、C、Dを構成要件として有する発明の態様はそのクレームの保護対象外です。
②特許出願のClose term を記載する趣旨
(a)一般に特許出願人がクレームを記載するときには、必須でない条件を発明の構成要件としないことが鉄則ですので、Transition termとしては、後半部に記載された要素以外の事柄が発明の構成としても入ることを許すopen term(例えばcomprising
やincludingなど)を使用することが普通です。 →Open termとは(特許出願の)
(b)しかしながら、従来、部材A、B、Cで構成していたものを、特別の工夫をして部材A、Bのみで構成できるようにし、それにより、部材数の減少により製造コストを低減できるというのが発明の効果であるとします。
そういう場合に、“comprising A、B”を用いると、クレームの表現上でAとBとCとからなる態様も保護範囲に含まれることになり、発明の効果が達成できないことになりますので、意味がないことになります。
そういう場合に“consist of”という表現が用いられます。
③我国の特許出願の実務との関係
(a)“close term”の“consists of ”は日本語の“~から成る”に、また“open term”の“including”は日本語の“具備する”、“含む”に、一応は、それぞれ対応していますが、日本の特許出願の実務ではそれほど厳密に区別されているわけではありません。
(b)日本では、“請求項中に「A、Bから成る」に記載されているから、「A、B、C」を具備するイ号物件は保護対象から除外されている。”と主張しても、裁判所がどのように判断するかは分かりません。その点だけでなく、明細書中の発明の効果などの記載も含めて総合的に判断することになると考えられます。
(c)欧米法は判例重視であり、同様の事例は同じように判断するべきという先例拘束性の原理に支配されますので、特許出願のクレーム中のopen termとclose termとの使い分けを論拠とする先例があれば、下級裁判所はその先例を尊重しなければなりません。
(d)それに対して日本の法律は成文法であり、事情が異なります。最高裁判所の判決で特許出願のクレームに“…のみからなる”という言い回しがあったときには△△のように判断すべき。“という判断が示されない限り、拘束力を生じないからです。
(e)そうした事情から、日本の特許出願に基づくパリ条約優先権を主張した米国特許出願をする場合には、前者のクレーム中のTransition termに相当する接続箇所の翻訳には十分に注意する必要はあります。
日本への特許出願用の明細書は必ずしも米国の特許出願の実務に適合しているとは限らないからです。
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