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 パテントに関する専門用語
  

 No:  823   

進歩性規定の評価根拠事実/特許出願/特許調査

 
体系 実体法
用語

評価根拠事実(進歩性の規定の)

意味  進歩性の規定の評価根拠事実は、特許出願前に新規性を喪失した発明に基づいていわゆる当業者が容易に発明できたこと(容易想到性)の存在を裏付ける事実を言います。


内容 @容易想到性(進歩性を有しないこと)の評価根拠事実の意義

(a)進歩性の規定のうちで「容易に」の要件は、抽象的な評価に関するものであり、客観的に評価することが簡単ではありません。

(b)単に特許出願に係る発明の技術分野の技術者を当業者として証人喚問して、発明が容易であると思うか否かを証言させればよいというものではなく、容易想到性を左右する事実を集めて総合的に判断する必要があります。

(c)評価の材料としては、容易想到であること(進歩性がないこと)を肯定的に評価できる事情と、否定的に評価できる事情があります。このうちで前者が評価根拠事実です。

(d)評価根拠事実は、要件事実論における請求原因事実に対応します。

A評価根拠事実の内容

(a)第1の評価根拠事実として、いわゆる設計的事項や数値範囲の最適化などが該当します。

(b)第2の評価根拠事実として、発明への動機付けが挙げられます。

(イ)技術分野の関連性

 発明の課題解決のために、関連する技術分野の技術手段の適用を試みることは、当業者の通常の創作能力の発揮です。当業者が自分の技術分野のことをよく知っており、そこでの技術を組み合わせたり、適用しようとするのは常のことです。

 特許出願の発明が先行技術の組み合わせである場合に、それら先行技術を組み合わせなどを妨げる特別な事情(いわゆる阻害要因)がない限り、組み合わせの動機付けがあると判断される傾向があります。

(ロ)課題の共通性

 課題が共通することは、当業者が引用発明を適用したり結び付けて特許出願の請求項に係る発明に導かれたことの有力な根拠となります。

 当業者はある課題を解決するために、技術分野の垣根を超えて特許調査する際に、他人は同様の課題を解決するためにどうしたのかを課題解決の糸口としようとすることはよくあることだからです。

(ハ)作用・機能の共通性

 特許出願の請求項に係る発明の発明特定事項と引用発明特定事項との間で、作用、機能が共通することや、引用発明特定事項どうしの作用、機能が共通することは、当業者が引用発明を適用したり結び付けたりして当該出願の請求項に係る発明に導かれたことの有力な根拠となります。

 例えば物を押圧する手段として、カム式の押圧手段の代わりに、ネジ式の押圧手段、或いは空気チューブを利用した膨張式押圧手段を採用するのは、普通のことだからです。

(ニ)引用発明の内容中の示唆

 引用発明の内容に請求項に係る発明に対する示唆があれば、当業者が特許出願人の発明に導かれたことの有力な根拠となります。例えば電池の電極の素材を変更するときに、その素材が満たすべき条件が引用文献に記載されており、その条件にあった元素を周期律表から選べば足るような場合です。

 改めて特許調査をするまでもなく選択肢が知られているからです。


留意点

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