内容 |
①無効調査の意義
(a)他人の特許出願の前に公開された刊行物に記載された発明が、他人の特許発明と同一であるとき、或いは当該発明から他人の特許発明を容易に創作することができるときには、他人の特許発明が新規性・進歩性を欠くという理由で、無効審判を請求することができます。
(b)しかしながら、特許出願に対する情報提供と異なり、一旦権利として成立したものを無効に導くことは容易ではありません。
(c)すなわち、要件A+B+C+Dからなる特許発明に対して、その特許出願前に公開された先行技術の中から、要件A+B+Cからなる発明、要件A+B+Dからなる発明、要件A+C+Dからなる発明…という如く、なんとなく似ているという先行発明をやみくもに集めても、当該特許が無効となるべきであると裁判官を納得させることができない場合が多いのです。
(d)従って無効を無効に導くために最も有効な資料を探すことが重要となります。
②無効調査の内容
(a)最も有効な資料を探すためには次のことに留意するべきです。
(b)第1に、裁判官を納得させるストーリー(進歩性を否定する論理付け)を考えて、そのストーリーを組み立てるのに役に立つ証拠を集めるべきです。
→無効調査の指針
(c)第2に、特許発明が構成要件として数値限定(例えば20~40%)を含むのであれば、その数値範囲に包含される数値範囲(例えば25~35%)を有する先行技術を探すべきです。
単に特許発明の数値限定とオーバーラップする数値限定(例えば10~80%)を有する先行技術では、どうして“10~80%”から“25~35%”という範囲を導くことが容易であるのかを裁判官に納得させることができないことが多いからです。
(d)第3に、言葉(キーワード)での調査には限界がありますので、FIやFタームなどを上手く使って特許調査をするべきです。
(e)第4に、化学分野の発明の場合には、特許調査の対象である発明特定要素が実施例(実験例)として明細書に挙げられている先行技術を探すべきです。
|