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 パテントに関する専門用語
  

 No:  868   

行政処分/特許出願/無効審判

 
体系 権利内容
用語

行政処分の種類

意味  行政処分とは、“行政庁の処分”と言う程度の意味です(行訴法第3条第2項)。


内容 @行政処分の意義

 特許法上には様々な行政処分があります。行政処分は、行政機関が一方的に行うものであるために、法適合性を担保するために不服申立てがあります。そして行為の性質により不服申立のルートが異なります。特許法上で行政処分として普通のタイプは、行政機関による処分→行政機関に審査請求・異議申立の決定・裁定→裁判所に対する不服申立と言うルートを辿るのですが(特許法第184条の2)、行為の専門性・特殊性などからこれに当てはまらないものもあるのです。

 なお、ここでいう審査請求、異議申立は行政不服審査法上の概念であり、特許出願に対する出願審査請求、特許異議申立とは別のものです。

A処分の取消の訴えが審査請求又は異議申立に対する決定・裁定を経た後でなければ提起することができないもの(特許法第184条の2)。

(イ)代理人の選任命令後の本人の手続或いは代理人の改任命令後の元の代理人の手続の却下(特許法第13条第4項)。

 例えば特許実務の経験が足りない特許出願人の手続(明細書の補正など)が不適当である場合に、特許庁長官または審判官は特許実務に精通した適当な代理人により手続をすることを命ずるとともに特許出願人本人がした手続を却下することができます。特許出願人が選任した代理人(法的代理人など)が手続をするのに不適当な場合も同様です。特許出願人は手続の却下に関して争うことができます。

(ロ)補正を命じられた手続者が補正しない場合などの特許庁長官による手続の却下(特許法第18条)。

 例えば特許出願人が出願書類の補正を命じられたのにも関わらず、所定期間内に補正をしなかったときには特許庁長官等は当該特許出願を却下できます。

 特許出願人が特許査定の謄本送達の所定期間内に所定の特許料を納付しなかった場合も同様です。

(ハ)不適法な手続であって補正をすることができないものの特許庁長官による却下(特許法第18条の2)。

 例えば特許出願の願書に明細書が添付されていないような場合が該当します。

(ニ)補正を命じられた手続者が補正しない場合などの審判長による手続の却下(特許法第133条第3項)。

 例えば特許出願人が審判請求書の提出とともに請求項の数の増加を伴う補正をしたが、審査請求料の増加分に関して手数料補正を命じても所定期間内に料金が振り込まれない場合が該当します。

(ホ)不適法な手続であって補正をすることができないものの審判長による却下(特許法第133条の2)。

 審判請求自体以外の審判事件に関して特許出願人がした手続(例えば意見書の提出)が不適法であり、補正できないもの(例えば期間を徒過しているもの)である場合が該当します。

(へ)不実施の場合の通常実施権の裁定の取消(特許法83条、90条)。

 特許発明が継続して3年以上日本国内において適当に実施されていないこと(特許出願の日から4年をいないときを除く)を理由として特許庁長官により通常実施権の裁定がされることがあります。

(ト)自己の特許発明を実施するための通常実施権の設定の裁定の取消(特許法第92条、90条)

 自己の特許発明A+B+C+Dがその特許出願の日前の他人の特許発明A+B+Cを利用するものであり、前者を実施するために特許庁長官により通常実施権の裁定がされることがあります。

(チ)公益のための通常実施権の裁定の取消(特許法第93条、90条)

 例えばガス事業の安全性を確保するための発明であって、実施されることによりガス中毒者が著しく少なくなると期待される場合に通商産業大臣の裁定により通常実施権が設定されることがあります。

(リ)前記裁定の取消(特許法第90条)

 特許法第83条、92条、93条に掲げる事由により通常実施権の裁定が行われたのにも関わらず、裁定通常実施権者が当該特許発明を実施しない場合、或いは裁定の理由の消滅などにより当該裁定を維持することが適当で亡くなった場合に裁定は特許庁長官により取り消されることがあります。

(ヌ)証明等の請求の却下(特許法第186条)

 例えば特許出願の願書・明細書・図面或いは特許出願の審査に係る書類、或いは特許出願の拒絶査定不服審判に係る書類は、出願公開等により秘密性が解除されたときに限り交付を請求できますが、特許庁が過誤などにより請求を却下したときには、不服申し立てが出来ます。

B行政不服審査法の対象とならないとされている行政処分(特許法第195条の4)

 次のものが該当します。

(イ)特許出願・特許権の存続期間の延長登録出願に対する査定並びに審決

 特許出願等の拒絶査定に関しては、拒絶査定不服審判が、特許出願の特許査定・特許権の存続期間の延長登録出願に対する登録査定に対しては、それぞれ特許無効審判・延長登録無効審判が請求できるからです。事件の専門性に鑑み、専門官庁にまず審理をさせることが妥当だからです。

 審決等に関しては審決取消訴訟の対象となります。

(ロ)審判・再審の請求書の却下の決定又は無効審判の手続中の訂正の請求書の却下の決定

 これらの事柄に関しては、技術的な要素が少なく、技術の専門官庁である特許庁の判断を経由する意味が少ないので、行政不服法による不服申し立てを省略して直接裁判所へ提訴するべきだからです。

(ハ)特許法の規定により不服申立ができないとされている処分

 例えば特許無効審判等における除斥・忌避の申立に対する決定、参加の申請についての決定があります。無効審判の一方の当事者と審判官との間に特別の関係性があり、その結果として他方の当事者が不利益を蒙ったときには最終処分である審決に関して争えば足ります。また参加の申請を認められなかった者には審決取消訴訟の当事者適格が認められます。 特許維持決定も同様です。無効審判ができるからです。


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