パテントに関する専門用語
  

 No:  870   

行政行為の種類/特許出願/

 
体系 行政行為
用語

行政行為の種類

意味  行政行為は、通説によれば、法律的行政行為と準法律的行政行為とに大別されます。


内容 ①行政行為の種類の意義

(a)行政行為に関しては、行政庁の意思表示により成立する点で法律行為に類似するもの(行政法上の特許など)と、行政庁の裁量の余地がないもの(確認・公証・通知・受理)とがあると言われています。

 前者を法律的行政行為と、後者を準法律的行政行為と言います

(b)もっともこの分類方法には批判もあります。行為の性質からこの方法で分類しにくいものもあるからです。

②行政行為の種類の内容

(a)法律行為的行政行為には命令的行政行為形成的行為とがあります。

(イ)命令的行政行為は、人が事実としてある行為を行うこと制限すること、及び制限を解除することです。下命・禁止・許可・免除が該当します。

 例えば特許法第195条の2は、特許庁長官は、自己の特許出願について出願審査請求をする者が貧困により所定の手数料を納付する資力がないなどの条件を満たす場合には、出願審査請求の手数料を軽減し、或いは免除することができると定めています。発明の奨励のためです。「自己の」ですので、他人の特許出願に出願審査請求をする者は対象外です。

 「できる」ですので、軽減・免除を認めるか否かについて特許庁長官の裁量権があります。

(ロ)形成的行政行為は、相手方のために第三者に対抗することができる法律上の地位を発生させる、またはこれを変更し、消滅させることを言います。

 一般に行政法上の特許(一般の法律行為の形式によっては設定し得ない法的地位を与えること)や認可が該当すると言われています。行政法上の特許とは、一般の法律行為の形式によっては設定し得ない法的地位を与えることであり、特許法上のそれとは別です。後述の通り特許出願は法律の要件を備えていれば特許査定しなければならないからです。

 特許法では、特許出願人に対して特許権を設定する行為も形成的行政行為に該当します。

(b) 準法律的行政行為とは、法律の要件に従って行われる行政行為であり、行政庁の裁量が入る余地がないものです。

(イ)現行の特許法での特許出願に対する特許権の設定登録が該当します。現行法の権利主義の下では、特許出願が一定の要件(新規性や進歩性)を満たせば特許査定をしなければならず、例えば特許出願人が国内企業であるので進歩性の面で有利な取扱いをしようなどという裁量の余地は全くないからです。

(ロ)一般に準法律的行政行為の型として確認・公証(証明)・通知・受理の4つがあると言われています。

〔受理行為〕特許出願の出願書類が特許庁に到着すると、特許庁は、重要な方式的要件(願書に特許出願人の名称・住所等が記載されていること、特許請求の範囲・明細書が添付されていることなど)が具備されていることを条件として、特許出願を受理するとともに、特許出願日を認定します。この特許出願日の認定はパリ条約優先権の発生条件となる重要な手続きです。

〔証明行為〕何人も特許に関して証明等を請求できます(特許法第186条)。例えば特許出願人は、日本への特許出願に基づくパリ条約優先権を主張して外国特許出願を行うために、優先権証明書の交付を請求することができます。

〔確認行為〕特許出願に対して出願審査請求があった時には、特許庁は審査官を指定して、当該特許出願に係る発明が特許要件(新規性・進歩性など)を備えているかを確認するために実体審査を行わせます。審査官は新規性・進歩等が具備されていると認めるときには特許査定を、そうでないときには具備されないときには拒絶査定を行います。

〔通知行為〕“通知”というのは、通知の内容が意思表示とならないものです。例えば拒絶査定不服審判の手続において前置審査が解除された旨が特許出願人に通知されるという如くです。


留意点

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