内容 |
①主位的主張の意義
(a)裁判では、当事者がメインの主張及び補助的な主張を二段構えで行うことが許されています。この場合の前者を主位的主張、後者を予備的主張といいます。
(b)例えば特許出願の手続に関しては、審査段階で引用例に進歩性を否定されたので、特許出願人が拒絶査定不服審判を請求するとともに拒絶理由を回避できるように補正をしたところ、審判官は同じ引用例中の審査官が引用した箇所と別の部分を引用して“この請求は成り立たない”という審決をした、この審決の中で周知例を引用して補正発明は独立特許要件を具備しないとされた、特許出願人にれは手続的に違法であるとして審決取消訴訟が提起されたところ、
被告が
主位的主張:再度の補正の機会を与えずに審決をしたのは違法ではない、
予備的主張:拒絶査定の理由と補正却下の理由は,判断の骨子部分で重なっており、相違点に係る構成は周知技術等に鑑みれば格別のものではない
と主張した事例があります。
(b)特許侵害に関しては、例えば下記のように損害賠償額の立証において主位的主張の他に、予備的主張が行わることがあります。
②主位的主張の内容
事例(平成27年(ワ)第12480号)
被告による本件装置1及び本件各部品の販売に係る損害
(ア) 法102条2項に基づく主張(主位的主張)
被告ワンマンらが,本件装置の販売によって得た利益(税抜)は,売上金額の合計A(円)3億4669万7500と仕入金額の合計B(円)3億0345万4000の差額であるA-B4324万3500円であり,このうち本件装置3に係る販売利益X(円)469万5000を控除したA-B-C(円)3854万8500が,被告ワンマンらによる本件装置1の販売によって得た利益(税抜)となる。
(イ) 法102条3項又は不当利得返還請求権に基づく主張(予備的主張)
本件装置1の販売に係る利益(税抜)は,上記(ア)のとおり,A-B-C(円)3854万8500であり,本件装置1の販売に係る本件各発明の実施料率は販売利益の3%が相当であるから,本件装置1の販売についての実施料相当額(税抜)は,(A-B-C)*0.03(円)115万6455円(計算式3854万8500円×3%)となる。
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