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①手続能力の意義
(a)未成年者などの手続能力(特許法第7条)
特許出願・審判の請求など特許に関する手続を行うためには専門的な知識が必要であって、成年にとっても困難ですが、少なくとも自分に専門知識が足りないと思えば、専門家の助言を聞くなどして手続を行うことは可能です。しかしながら、未成年などの場合には、例えば特許出願の明細書を補正するべきかどうかに関して、前記助言を受けたとしても、的確に判断できない場合があることが予想され、それにより本人が不利益を被るのは酷です。
そこで未成年及び成年被後見人は、法定代理人によらなければ、特許出願その他特許に関する手続をすることができないとされています。
未成年者などの手続能力は、民法における行為能力の制度、あるいは民事訴訟法における訴訟能力の制度に類似するものです(→訴訟能力とは)。
(b)法人格なき社団等の手続能力(特許法第6条)
法人格を有しない社団・財団は、権利能力を有しないために自ら特許出願したり、特許を譲り受けたりして権利の主体となることはできません。
→権利能力とは
しかしながら法人格を有しない社団や財団なども、現実として様々な社会的活動を営んでいるため、他人の特許権の行使を受ける可能性があるます。
このように場合に、特許権による攻撃を受ける可能性がありながら、一切の手続能力が認められず、特許権に対する防御ができないとすれば不公平です。
そこで前記社団・財団などに代表者の定めがあることなどを条件として、特許出願に対する審査請求、特許無効審判・特許権存続期間延長登録無効審判などの一定の手続に関して、手続能力が認められています。
なお、前述の特許出願に対する審査請求とは、言うまでもなく、当該社団・財団など以外の第三者が行った特許出願に対する審査請求です。
自らの事業活動に関わる特許出願が出願公開された場合などに、これが権利化されるか否かは、社団・財団などにとって重大な問題だからです。
法人格なき社団等の手続能力は、民事訴訟法の当事者能力の制度と同様の考え方によるものです。
②手続能力の内容
(a)未成年者などの手続能力の内容
民法第4条の規定では未成年は代理人の同意を得れば法律行為をすることができますが、特許出願などの特許に関する手続に関しては、全て法律によらなければすることができません。専門性を要求されるからです。
もっとも婚姻により成年擬制されたときにはこの限りではありません。
(b)法人格なき社団等の手続能力の内容
社団には、契約により結合している個人の集合(組合など)は含まれません(→社団とは)
財団とは、例えば社会事業のための募集された寄付財産などが該当します(→財団とは)
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