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@原告適格の意義
憲法第32条には「何人も、裁判をする権利を奪われない。」と定められており、原告適格の範囲も前記の定めに対応している必要があります。
行政事件訴訟法の一般的な解釈によれば、行政処分によって権利を害された者であれば、事件の直接の当事者でなくても、原告適格があります。
しかしながら、特許権は対世的な権利であるため、特許発明の属する技術分野で事業を行う者であれば誰でも利害関係を有することになり、利害関係があることを以て裁判ができるとすると、原告適格の範囲が非常に広範となってしまう可能性があります。
こうした事情を考慮して審決取消訴訟の原告適格が定めれています。なお、審決取消訴訟とは、取消決定又は審決に対する訴え、特許異議申立書・審判若しくは再審の請求書・訂正の請求書の却下の決定に対する訴えを言うものとします。
A原告適格の内容
(a)特許法第178条第2項は、いわゆる審決取消訴訟は次の者に限り、提起することができると定めています。
・当事者
当事者というと、当事者対立構造を有する無効審判の請求人・被請求人のことだけを指すような気もしますが、査定系審判、すなわち、特許出願等の拒絶不服審判及び訂正審判の請求人も該当します。
・参加人
・審判もしくは再審に参加を申請されて拒否された者
(b)「次の者に限り」であるので、専用実施権者・通常実施権者・質権者のように審決(無効審判や訂正審判の審決)に利害関係がある者でも、参加人又は参加を申請されて拒否された者でなければ当事者適格を有しません。
前述の通り利害関係を有する全ての者に原告適格を求めると、その範囲が広くなり過ぎ、裁判の渋滞を生ずる可能性があるからです。
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