内容 |
①参加人の意義
特許法上の審判を請求するには当事者適格が必要ですが(→当事者適格とは)、当事者適格がなくても審決の効果が自分に及んでくるので、審判の審理に関わりたいという場合があり、当事者適格はあっても自ら審判を請求するのではなく、他人が既に請求した審判の審理に関わりたいという場合もあります。
こうした要請に応えるのが参加人の制度です。
②参加人の内容
(a)参加人の種類として請求人参加としての参加人と、補助参加としての参加人とがいます。
(b)請求人参加としての参加人とは、特許法第132条第1項(同一の特許権について特許無効審判又は延長登録無効審判を請求する者が2人以上あるときには、これらの者は共同して審判を請求できる)により審判請求できる者であることを根拠として、他人が請求した審判の審理の参加した者です。
・例えば甲の特許権の請求項1に記載された発明の内容を、乙及び丙が実施しており、乙が請求した無効審判の審理に乙が参加する如くです。乙及び丙ともに甲から特許権を行使される可能性があり、請求の利益があるからです。
・この場合、丙はたとえ乙が審判請求を取り下げても審判を続行することができます。
・特許出願等の拒絶査定不服審判では、この種の参加の制度がありません。例えば甲及び乙が共同で特許出願をした場合には、甲及び乙が共同で拒絶査定不服審判を請求しなければならないと規定されており(特許法第132条第3項)、一方の特許出願人甲が請求した拒絶査定不服審判の審理に後日他方の特許出願人が参加するということは有り得ないからです。
(c)補助参加としての参加人とは、審判の結果について利害関係を有する者であることを根拠として、当事者の一方を補助するために審判に参加した者を言います。
・例えば甲の特許権に基づいて乙に通常実施権の許諾又は専用実施権の設定がされており、その特許権に対して丙が無効審判を請求した場合には、無効審決の確定により、乙の権利も無くなりますから、“審判の結果について利害関係を有する”という条件が満たされます。
・ここでいう利害関係とは法律的な理由であることを要します。例えば甲に金を貸している丁が甲の特許権が無効になると、甲の収入が減って自分への返済が滞るかもしれないと考えて参加を申請しても、その参加の申請は拒否されることになります。
・補助参加による参加人は、一切の手続をすることができます。 →一切の手続とは
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