内容 |
①訴訟経済の内容
(a)裁判所は、裁判の適正・公平性・訴訟経済などの理念を基本として成り立っています。
(b)訴訟経済は、裁判所の負担だけでなく、関係者の負担を減らす場合にも適用されます。
例えば民事訴訟法における“反訴”の制度は、実質的に同じ紛争に関して裁判所が重複して審理を行うものであると同時に、紛争の当事者の負担を減らす意義も有しています。
(c)また訴訟経済は、訴訟法規の立法、解釈・運用の場面で適用されます。
②訴訟経済の内容
(a)審決取消訴訟の第一審省略
特許法第178条第1項は、審決等に対する訴えは一審省略して東京高等裁判所の専属管轄とするとしています。
例えば特許出願等の拒絶審決・訂正審判の審決・無効審判の審決などは、民事訴訟類似の準司法的手続を経て行われるものですから、第一審の審理を経ることは、裁判の適正の観点から必要性が乏しいばかりではなく、むしろ、訴訟経済の観点から好ましくないと考えられるからです。
(b)続審主義
民事訴訟法では、第一審と第二審との間で続審主義が採用されており、訴訟手続ではないが、特許法第158条により“(特許出願等の)審査においてした手続は、拒絶査定不服審判においても、その効力を有する。”と規定されています。
すなわち、“第一審である特許出願・特許権の延長登録出願の審査を基盤として、審査を続行し、必要により新たな資料を補充して、審査官の判断の当否を調査する”のです。
→続審主義とは
第一審の審理と無関係に新たに審理をやり直す覆審主義は、過去に立法例があると言われていますが、現在では、訴訟経済に反するため、採用されていません。
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