内容 |
@の意義
(a)時効の中断とは、時効の基礎である事実関係を覆すような事実が生じた場合に、時効の進行が阻止されることを言います。
(b)時効の中断の効果は、それまで進行していた時効期間がリセットされ、中断後改めて時効の進行が開始することです。
(c)時効の中断の態様として次のものがあります。
(イ)法定中断
請求、差押え・仮差押え・仮処分、承認による時効があります。
(ロ)自然中断
これは、取得時効に特有の中断です。
(d)時効の中断に類似の概念として、時効の停止があります。時効の停止の場合には、時効の進行を振り出しに戻すものではなく、停止の事由の終了後一定の期間が経てば時効が完成します。
Aの内容
(a) 被告ないし被告に合併されたA社の従業員であった原告が、A社に在職中にした本件発明に係る特許を受ける権利(特許出願をする権利)をA社に譲渡したとして、合併によりA社から上記権利及びその譲渡に係る相当対価支払義務を継承した被告に対しその支払を請求した事案を紹介します(平18(ワ)4183号)。
勤務規則等に対価の支払時期に関する条項があるときはその支払時期が相当対価の支払を受ける権利の消滅時効の起算点となると解するとされました。
その結果として、本件対価請求権のうち支払時期の最も遅い実績補償金の部分でさえ、平成10年に改正された取扱規程の改正実施前後を通じて、遅くとも特許登録時以降は中断されることなく継続しており、権利行使が可能であったにもかかわらず行使しなかったので、本件対価請求権は時効により消滅しているとして、請求が棄却されました。
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