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992 共同研究契約/特許出願/オープンイノベーション |
体系 |
ビジネス用語 |
用語 |
共同研究契約 |
意味 |
共同研究契約とは、当事者双方が共同で新技術の研究開発をすることを目的とする契約を言います。
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内容 |
@共同研究契約の意義
近年、技術サイクルの短期化に伴って、商品開発のスピード感が重要となり、オープン・イノベーションの必要性が事業者の間で認識されるようになりました。
→オープンイノベーションとは
すなわち、課題に応じて全てを自社で開発するのではなく、広く全世界に亘って課題解決のための技術を有する企業を募り、共同開発・共同研究を行うのです。
もちろん、自前主義で技術を開発してもそれなりの技術を開発できるでしょうが、既に確立されている技術(好ましくは既に特許出願も行なわれている技術)を利用することで、商品開発の時間短縮を図る方が得策であるという考え方です。
この場合に締結されるのが必要となるのが共同研究契約です。共同研究の成果を、当事者の一方が特許出願したりすると、信頼関係が損なわれるからです。
A共同研究契約の内容
(a)この契約の要諦は、“当事者が共同して得られた成果は共有とする。”ということです。
特許法第38条とは、“特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、各共有者と共同でなければ、特許出願をすることができない。”と規定されていますが、
・“法律の規定を待つまでもなく、こうしたことは当たり前であろう。”と思われますが、それを定めるのには意義があります。
特許を受ける権利の共有者の一人が発明をした当初は特許出願をすることにそれほど熱心ではないことがあります。例えば大学教授の助言により企業が発明を完成したような場合ですが、企業のみで特許出願をしたときには、大学教授の雇用者である大学からクレームがつく可能性があります。
特許を受ける権利の共有者が特許出願の費用を負担してまで権利を取る意欲がないのであれば、特許を受ける権利の持分を、特許出願をしたいと考える他の共有者に譲渡するなどの処理をするべきです。
(b)“相手から情報を貰って完成した発明は共有のもの”であることを認識して契約を作成するべきです。共同発明の態様としては、発明の着想を提供した者と、着想を実現するための構成を考案した者とが発明した場合があります。こうした場合に、後者は、自分が唯一の発明者と考えて単独で特許出願をしてしまう傾向がありますが、前者も発明の実現に実体的に関与していますので、発明者の一人になります。
(c)もっとも共同発明である場合の、各発明者に対する特許を受ける権利の持分は、各発明者の発明に対する貢献度に応じて定めるべきです。
(d)特許出願人の一人が事業者ではなく、発明する予定を有しない者(例えば大学)である場合には、他の特許出願人が後日特許発明を実施したときに対価を支払うような契約内容にすることが望まれます。→不実施補償契約とは
(e)共同契約ではなく研究を委託するときには、それに応じた契約を締結することが望まれます。→研究委託契約とは
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留意点 |
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