[判決言い渡し日] |
平成13年5月17日 |
[発明の名称] |
バナナ追熟加工自動制御方法 |
[主要論点] |
特許出願人の意見書での陳述に基づく禁反言の原則の適用 |
[判例の要点] |
特許出願の請求の範囲の補正により追加した構成要件に関して意見書で述べたことと矛盾する権利の主張を行うことは、禁反言の原則に照らして許されません。 |
[本件へのあてはめ] |
請求の範囲の「果肉温度が上昇してバナナの醗酵開始温度T3に達すると、一定時間室温T2を維持した後に加温を停止し室温を低下させるとともに、室内の空気を換気し」という要件に関して、 原告は、“一定時間室温を維持する”と言っても、“(醗酵開始温度に達してから換気までの間の)全ての時間とは言っておらず”、発明の意義から ・特許出願の当初の請求の範囲の「果肉温度が上昇してバナナの醗酵開始温度に達すると、一定時間経過後に室内の空気を換気し」とされており、 ・拒絶理由通知において、“バナナの追熟を行う際に、バナナの醗酵開始時期や貯蔵室の換気時期等の決定をバナナの果肉温度により行うことは、特許出願前に周知であったから、引用例1のバナナ追熟加工自動制御方法において、バナナの醗酵開始時期や貯蔵室の換気時期等の検知を、バナナの果肉温度を検出する果肉温度センサの出力に基づいて行うようにすることは当業者が容易に想致し得る”(進歩性の欠如)と指摘され、 ・手続補正書で「一定時間室温T2を維持した後に」という要件を追加するとともに、 ・意見書で「本願発明は室温T2となるまで室を加温し、果肉温度が温度T1即ちエチレンガスがバナナの醗酵のために最も効果的に作用する温度になると、一定時間エチレンガスを室内に注入して醗酵を促進させている。さらに、果肉温度が上昇してバナナの醗酵開始温度T3になると室温T2を一定時間維持した後に加温を停止し室温を下げるようにしている。そして室温T2は前記温度T3よりやや低く設定している。前記した制御方法は最近に於けるこの分野の研究成果に基づく新規性、進歩性のある方法であり、引例1とは全く異なるものである。」と主張している、 という特許出願の経緯を考えると、“果肉温度を著しく低下させない程度に室温を低下させることも含まれる”という主張することは、出願経過禁反言の原則から許されません。 |
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