[判決言い渡し日] |
平成24年3月5日 |
[発明の名称] |
歯車ポンプまたはモータ |
[主要論点] |
進歩性の判断における引用発明の機能の阻害(いわゆる阻害要因)の考察 |
[判例の要点] |
引用発明の特定事項の機能を阻害し、その技術的思想が想定している範囲を超えて、設計を変更することは、特別の事情がない限り、当業者にとって容易なことではありません。 |
[本件へのあてはめ] |
(a)本願発明のガスケット又は可動側板に設けられる「凹欠」は、可動側板の溝の底部の隅の「Rをとっている部位」にまで達するように、例えば溝状の部分を設け、この部分に作動液が侵入できるようにして、ガスケットが作動液によって低圧側の溝壁に押し付けられたときでも、作動液の液圧で、ガスケットをケーシングに向かって押し付け、また可動側板を歯車端面に向かって押し付けて、可動側板の圧力バランス及び歯車端面に対するシールを確保できるようにするものであるが、 引用発明のガスケットに設けられた突条部17の役割は、その弾性力で、可動側板を歯車端面側に押し付けることにあり、突条部と可動側板の間に作動液(高圧流体)が侵入して、液圧でガスケットをケーシングに押し付ける(押し上げる)ことは想定されていない。 引用発明のガスケットと可動側板の構成を、可動側板の溝の低圧側側面と底面が成す曲面状の隅部にまで作動液が侵入して可動側板の圧力バランスをとることができるよう、ガスケットと可動側板との間の隙間10が上記の曲面状の部位(Rをとっている部位)にまで及ぶように改めることは、突条部17の機能を害し、またガスケットの低圧側へのはみ出しを防止するという技術的思想に反するものであるから、上記構成に改める発想が生じるはずはなく、当然のことながら当業者には容易に想到できる事柄ということはできません。 |
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