[判決言い渡し日] |
平成15年3月24日 |
[発明の名称] |
中空糸膜分離ユニット |
[主要論点] |
進歩性の判断における阻害要因の評価及び不十分な示唆 |
[判例の要点] |
副引用例が発明特定事項を抽象的に示唆しているに過ぎない場合には、主引用例に相対的に弱い阻害要因が存在するだけでも容易想到性を否定(進歩性を肯定)するに足ります。 また複数の発明特定事項A・Bの材質として或る上位概念X(下位概念x1及びx2を含むもの)が示唆されていても、それは事項Aの素材としてx1を、また事項Bの素材としてx2を示唆するものとは言えません。 |
[本件へのあてはめ] |
主引用例に中空糸膜分離ユニットの中空糸膜及び当該膜の端部をシールする封止剤を同一素材で形成する構成が記載されており、素材の一例として両者をポリプロピレンで形成することが開示されていた場合において、副引用例に同様のユニットの中空糸及び封止剤の素材に関して複数の候補の一つとしてポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン及びポリエチレンの上位概念)が記載されていたとしても、中空糸の素材としてポリプロピレンを、また封止剤の素材としてポリエチレンを用いることが示唆されているとは言えません。 そして主引用例は、中空糸膜及び封止剤相当部分に関して熱融着することを特徴として掲げられており、これは熱融着以外の構成を排除しているというべきであり、 またポリプロピレン及びポリエチレンは熱融着しない材料の組み合わせであるため、 中空糸の素材としてポリプロピレンを、また封止剤の素材としてポリエチレンを用いることに関して、阻害要因があると言えます。 |
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