[判決言い渡し日] |
平成18年10月11日 |
[発明の名称] |
有機発光素子用のカプセル封入材としてのシロキサンおよびシロキサン誘導体 |
[主要論点] |
進歩性の判断における主引用発明及び副引用発明の課題の総意の評価 |
[判例の要点] |
主引用発明(A+B’+C)の構成中のB’を副引用例(A+B)のBと置き換えることで特許出願人の発明(A+B+C)に想到することの是非を検討するに際して、主引用例と副引用例との発明の目的が異なり、それゆえにBが主引用例の目的に適していないという事情があるときには、容易想到性を否定(進歩性の肯定)する方向に評価されます。 ※その事情は阻害要因というに足りないものも含みます。 |
[本件へのあてはめ] |
2つの接触電極の間に電圧を印加することにより発光する有機領域を有し、かつ発光部分を覆うシロキサンが光の経路内に配置された光学要素を含む有機発光素子の特許出願人の発明に対して、主引用例である有機EL素子のオーバーコート層を副引用例のシロキサンと置き換えることで特許出願人の発明に容易に想到し得ると審決で判断されました。しかしながら、主引用例のオーバーコート層はダークスポットの発生などの不都合を回避するために光散乱部の表面の凹凸を平坦化することを目的とするものであり、他方、副引用例のシロキサンは対象物を保護する薄い(実施例では10nm?100μm程度)保護膜であるから、平坦化に適した特質に足るものと認める証拠がなく、前記置換が当業者にとって容易になし得たと論理付けることができません。 |
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