[判決言い渡し日] |
平成29年 6月20日 |
[発明の名称] |
赤外線センサIC、赤外線センサ及びその製造方法 |
[主要論点] |
進歩性の阻害要因 |
[判例の要点] |
引用文献同士を組み合わせることにより引用発明の作用が阻害されるときには、進歩性の判断において本件発明の構成に至ることを阻害する要因になり得ます。 |
[本件へのあてはめ] |
引用発明Cの赤外線検出器は、ワイドギャップ領域を設けることにより、すなわち、ドーパントがなるべく除去された第2の化合物半導体層と第3の化合物半導体層との間の伝導帯レベル差ΔEcを大きくとることにより、キャリアの熱生成レートを非常に小さくするとともに、コンタクト部におけるキャリア生成から活性領域を隔離することによって、検出能力を向上させるというものであり、 他方、本件周知技術は、光吸収層に、伝導帯の電子密度が低減する所定の濃度に至るまでp型ドーパントを含ませるというものであります。 この場合には、第2の化合物半導体層と第3の化合物半導体層との間の伝導帯レベル差ΔEcは、p型ドーパントに相当する分だけ小さくなるので、伝導帯レベル差ΔEcを大きくとることによって、検出能力を向上させるという引用発明Cの作用は、本件周知技術を適用することにより、阻害されることになります。従って、引用発明Cに、本件周知技術を適用することには阻害要因があるというべきです。 |
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