[判決言い渡し日] |
1996年6月11日 |
[発明の名称] |
一対の靴を組として結び付ける(attached)システム |
[主要論点] |
均等論とDisclosure-Dedication-Rule(開示の原則)との関係 |
[判例の要点] |
(a)特許出願において開示されたがクレームされていない事柄は、公衆の用に供されたものとなる。”という原則は、均等論の下での侵害の認定を回避することにも適用される。 (b)特許権者は、(特許出願の手続において)発明を狭くクレームをしておき、侵害の適用において均等論を適用することが許されると考えるべきではありません。 |
[本件へのあてはめ] |
本件発明は、一対の靴がバラバラにならないように固着用タグ及びフィラメント状固着手段を用いて結び付けるためのシステムであって、当該固着用タブは、靴の内側ソール及び外側ソールの間に水平に伸びて両ソールの間に固定される第一の部分と、第一の部分から靴上部の内面に沿って上方へ延びるとともに開口部を有する第二の部分とを有し、前記フィラメント状固着手段は2つの固着用タブの開口部を挿通させるループ状のパーツであります。被告の係争物には複数のバージョンがあり、特許権者からの侵害の通知を受ける前のバージョンでは文言通りの侵害として、通知後のバージョンでは均等侵害として、特許権の侵害が行われたと原告は主張しています。後者のバージョンでは、固着用タブが靴底と履口との間の部分(カウンターポケット)又は履口の縫い目に縫い付けられています。 特許出願人が作成した明細書には、“代替手段として”固着用タグは「靴の側部又は後部における靴のライニングの縫い目に縫い込む(stitched)ようにしても良い」と開示してあり、この事項は特許出願人によって開示されたが未クレームの事柄に該当し、均等論による救済を受けることができないと考えるべきです。 何故なら、特許出願人が本来クレームできた筈の事項をそうしなかったことで特許商標庁はそれを審査する機会を奪われているからです。こうした特許出願人(特許権者)を救済すれば、広く開示しながら狭くクレームして特許侵害となってから明細書中に記載された均等物が権利範囲に入ると主張する者を手助けすることになり、特許出願人は自らが発明と認めた主題を特別に指摘し明確にクレームしなければならないという米国特許法112条の規定の趣旨に反し、特許出願人自らが発明とした事項を丁寧に審査する審査制度の趣旨にも反するからです。 |
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