[判決言い渡し日] |
1998年2月3日 |
[発明の名称] |
安全に穿孔する装置及び方法 |
[主要論点] |
特許権の共有者が他の共有者の侵害訴訟の被告に対して許諾した遡及的ライセンスの効果 |
[判例の要点] |
特許権の共有者が許諾する遡及的ライセンスは、他の共有者に生じた過去の侵害の損害に対する被告の責任を免除するような効果を有しない。 |
[本件へのあてはめ] |
@医者であるYoonは安全な外科的器具(トルカール)を開発するための技術的な支援をエレクトロニクスの専門家であるChoiに求め、そしてChoiは18ヶ月に亘って無報酬で研究開発に協力したものの、Yoonが求めるレベル(製品の商業化)に至る結果を残せなかったと信じて協力関係を終了しました。 Aしかしながら、Yoonは、その協力関係が終了したのと同じ年に多数の実施例を含む安全なトルカールの特許出願を行っており、多数の実施例のうちの少なくとも一つはChoiが発明に貢献したものでした。 B当該特許出願に対して特許権が付与され、特許権者であるYoonはETHICON INCに対して排他的権利を付与しました。ETHICONは、UNITED STATES SURGICALに対して特許権の侵害訴訟を提起しました。 CUNITED STATES SURGICALは、前記特許出願の手続上でYoonが唯一の発明者とされているものの、実は一部の実施例に係る共同発明者としてChoiがいることに気づきました。 DUNITED STATES SURGICALは、侵害訴訟中にChoiから特許の発生時点に遡って特許発明を実施できる権利を許諾する遡及的ライセンス、及び、進行中の侵害訴訟におけるUNITED STATES SURGICALへのChoiのアシストへの成功報酬の支払いを含む契約を結びました。 E裁判所は、特許の共有者であるChoiが許諾した遡及的ライセンスに関して、“被告が過去の侵害に対する責任(liability)を免れるものであってはならない”という原告の主張に同意しました。 そうした効果は、ライセンスではなく、過去の損害に対するUNITED STATES SURGICALの責任を免除であり、一の共有者が他の共有者に生じた過去の損害に対する侵害者の責任を免除をすることを認めるのは不合理だからです。 Fその反面、裁判所は、共有者の一人が当事者として侵害訴訟に加わっていないことを理由として、ETHICONの訴えを退けました。 |
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