[判決言い渡し日] |
平成30年3月28日 |
[発明の名称] |
登記識別情報保護シール |
[主要論点] |
進歩性判断における動機付け、阻害要因の解釈 |
[判例の要点] |
@発明の課題が特許出願日の前に当業者にとって周知の事柄である場合に、当該課題は引用発明同士を組み合わせる動機付けとなり得ます。 A前記課題が前提とする使用形態に副引用例の技術が用いられないことを理由として副引用例を主引用例に適用することに阻害要因があると主張された場合には、引用発明の本来の作用・機能に着目して、その主張の是非を判断するべきです。明細書中に開示された限定的用途に係る問題(特に技術な観点と関連ない問題)に拘泥するべきではありません。 |
[本件へのあてはめ] |
@本件発明は、登記識別情報通知書の登記識別情報を隠すための、一度剥がすと再度貼り直しできない登記識別情報保護シールであって、前記登記識別情報保護シールを構成する粘着剤層の前記登記識別情報に接触する部分に前記登記識別情報通知書に粘着しない非粘着領域を有するものであり、 その解決すべき課題は、登記識別情報通知書への登記識別情報保護シールの貼付・剥離を繰り返すと、粘着剤層が多数積層して登記識別情報が読み取り難くなることであるところ、 こうした課題は原出願日前に登記識別情報保護シールの需要者である司法書士に認識に認識されていたものと認められるから、 前記非粘着領域を開示する副引用例を主引用例に適用することの動機付けはある、と裁判所は判断しました。 A被告は、副引用例は保護シールの貼付剥離を繰り返すという課題がなくかつ使用目的から容器又はシールを使い回すことは倫理上許されないから、本件課題とは矛盾するとともに主引用例に適用することに阻害要因があると主張しましたが、 副引用例が、医療・保健衛生分野において使用される検体用容器等に使用される場合には、何度も貼り付け、剥離することはないのは、検体用容器等の用途がそのようなものであるからであって、副引用例自体の作用、機能に基づくものではなく、甲3発明は保健・衛生分野に限って使用されるものではないから、主引用例と組み合わせるのに阻害要因があるとはいえない、と裁判所は判断しました。 |
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