[判決言い渡し日] |
平成17年11月29日 |
[発明の名称] |
飲料容器 |
[主要論点] |
引用文献同士の組み合わせの容易想到性(進歩性の欠除)を考慮する際に何を技術的思想としてとらえるのか。技術的思想との関係で阻害要因をどう判断するべきか。 |
[判例の要点] |
同じ技術的思想の下における単なる設計的事項の差異にすぎないものを、引用文献同士を結合することを妨げる事情と主張しても、阻害要因とは認められがたい。 |
[本件へのあてはめ] |
本願発明1と引用発明2とでは、弁体(弾性体膜)の外部の圧力を内部方向の圧力よりも低くし、その差圧によって弁体を通じて内容物を排出するという技術的思想において両者に差異はなく、 内容物の排出時に弁体(弾性体膜)に対する圧力の作用位置(弁体の外部表面側か、内部表面側か)が異なるものの、このことは同じ技術的思想の下における単なる設計的事項の差異にすぎないものというべきであるから、 引用文献1に引用文献2を適用することに困難性はありません。 また特許出願人は、引用発明2の弾性体膜は、かなりの圧力に耐えうる設計が必要なものであることを当業者に予測させるものであるのに対し、本願発明1や引用発明1では膜は一般的には容器の上方に配置されていて内容物の重みを受けることがない(中略)ことを基本的な条件とするものであるから、弾性体膜に求められる強度についての設計思想は引用発明2とは全く相違し、(中略)一般的には引用発明2の物品は、引用発明1の物品より内容物の量が多く設計されるものであることを知っているから、引用発明2の弁のように、瓶の内容物の重み及び人の単なる瓶を保持する力の組み合わせでは開かないような弁を、内容物の量が少なく、人に口の吸い込みによって弁を開放する引用発明1の弁に使用することは容易に思いつかなかったものであり、引用発明1に引用発明2を適用することに阻害要因がある旨を主張しますが、 上述の通り、引用文献1と引用文献2との間には技術的思想の共通性があるので、特許出願人による阻害要因の主張は採用できません。 |
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