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●833 F.2d 931 Pennwalt v. Durand-Wayland (侵害訴訟控訴審・棄却→維持)


均等論/特許出願/機能/フルーツ類の仕分け装置

 [判決言い渡し日]
1987年11月6日
 [発明の名称]
フルーツ類の仕分け装置
 [主要論点]
均等論の下での侵害を判断する際に、係争物とクレーム発明とは、全体として比較するべきか、それとも、発明の要素単位(element by element)で比較するべきか。

 [判例の要点]
@均等侵害の成否は、発明の要素単位(element by element)の比較で判断するべきです。

AMeans plus functionの表現形式で機能的に表されたエレメントは、その機能を有する全ての事柄を意味するのではなく、当該機能に関して明細書に開示された構成及びその均等物を意味すると解釈するべきです。

 [本件へのあてはめ]
@特許出願人は、フルーツ類の色彩及び重量を、排出場所への移送経路の途中に配置された色センサ及び重量センサで順次検知して当該アイテムを仕分けする装置をクレーム(請求項)に記載して保護を求めたところ、

 非自明性(進歩性)を理由として拒絶理由を受けたため、

・色センサからのシグナル等に対応して“前記アイテムのポジションを連続的に指示”する第1ポジション指示手段、及び、

・第1ポジション指示手段からのシグナル及び重量センサからのシグナル等に対応して、前記アイテムが計量された後に仕分けられるべきポジションを示す第2ポジション指示手段

 という要件を追加して、特許を受けました。

A本件特許の侵害訴訟において、裁判所は、前記“ポジション指示手段”という用語に関して、明細書に記載された実施例を参酌して、仕分け装置内の前記アイテムの物理的なポジションを追跡して指示するものと解釈しました。その上で、アイテムのポジションではなく、色及び重量そのもののデータを記憶して仕分ける係争物は、実質的に同じ機能を発揮するものではないから、文言侵害は勿論のこと、均等侵害も成立しないと判断しました。

B特許権者は、係争物中のマイクロプロセッサーも結局は重量センサ及び色センサからのシグナルに応答してアイテムを重量及び色ごとに仕分けて別々の仕分け場所に仕分けるのだから、全体として均等であると主張しました。

 これに対して、裁判所は、発明特定事項の一つ一つを係争物の構成要素と比較するべきであり、全体としての均等という考え方は不合理であるとしました。

 そうした考え方をとると、実質的にクレームを書き換えて権利範囲を広げることになり、特許出願の審査が無意味なものとなる(特許出願人が審査で回避した先行技術にまで保護範囲が及ぶことになる)からです。

C特許権者は、裁判所が係争物と明細書に記載した実施例とを比較したと批判しましたが、裁判所はそれはMeans plus functionのクレームの解釈として正しいと判断しました。


 [先の関連判決]
Hughes Aircraft Co. v. United States 717 F.2d 1351 (全体としての均等)

Perkin-Elmer Corp.事件 732 F.2d 888 (均等の要件・機能の実質同一)

 [後の関連判決]
 
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