[判決言い渡し日] |
May 20,1985 |
[発明の名称] |
動的膝蓋ブレース |
[主要論点] |
略式判決の条件(事実問題に関する真正の争点)の有無、ミーンズ・プラス・ファンクション(means plus function)の解釈 |
[判例の要点] |
@means plus
function形式で記載された発明の要素は、明細書に開示された構造・素材・行為及びその均等物を含むと解釈すべきと定められていますが(米国特許法第112条)、 その均等の範囲は、いわゆる当業者が明細書に開示された事項と開示された事項との間に互換性があると認めるか否かで判断するべきです。 A略式判決に反対する当事者の意見がトライアルコートにより逆の結論が導かれ得ると認められる程度に説得力がある場合、事実問題に関する真正の争点があると判断されます。 |
[本件へのあてはめ] |
@特許発明の対象は、膝の屈曲などの動きの生理機能的な全範囲に亘って膝頭(膝蓋)の亜脱臼を防止するための動的な膝蓋ブレースであり、次の要素から成り立ちます(なお、/の後は発明の要素の実施例として特許出願人が開示した構造です)。 ・膝蓋をブレースする手段/パッド ・前記全範囲に亘り前記ブレース手段を膝の横に維持する手段/カウンターアーム ・前記全範囲に亘り前記ブレース手段に膝内方への合成力を印加する手段/一対のアーム A係争物(MDPS)は、内側部分及び外側部分からなる全体として円形の二重構造です。 B地方裁判所は係争物が前述の一対のアーム及びカウンターアームを有していないので特許権を侵害していない旨の略式判決を出しました。 Cしかしながら、いわゆる当業者である本件特許の発明者(特許出願人でもある)は、 ・MDPSの内側部分(medial portion)は基本的に前述の“アーム”に相当する ・MDPSの外側部分(lateral portion)は前述の“カウンターアーム”に相当する ・これらの部分は膝の動きの全範囲に亘って前記パッドのスライドを防止する と主張しています。 D控訴裁判所は、こうした意見の当否は一般常識では判断できず、トライアルで技術的専門家の意見等を聞いて結論するべきだから、本件には事実問題に関する真正の争点が存在し、地方裁判所が真正の争点を看過して略式判決を出したことは間違いと判示しました。 |
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