[判決言い渡し日] |
2009年5月8日 |
[発明の名称] |
パウダー状塗料を用いた金属材料のコーテング方法 |
[主要論点] |
特許(特許出願を含む)の譲り戻し(reassignment)の条件に関して当事者双方の主張に食い違いがあるときの合意書の解釈(フォーコーナーズ・ルールの適用事例) |
[判例の要点] |
仮に文書が不明瞭(unambiguous)でなければ当事者の義務の範囲は、外的証拠を参照することなく、契約の文言の範囲内で決定しなければなりません。 ※外的証拠…この場合には当該文書以外の証拠が該当します。 |
[本件へのあてはめ] |
(a)甲と乙とは、甲が開発したコーティング方法に関して、次の合意を行いました。 ・前記方法に対して甲が有する特許及び特許出願を乙に譲渡する代わりに、当該技術に関する備品を乙が甲から購入すること ・備品の購入額は、一定の最低保証額以上であること。 ・合意が終了したときには、乙は甲へ前記特許及び特許出願を譲り戻すこと。 (b)コーティング方法の売り上げ不振が原因で、甲は乙から資金を借りて備品の生産を続けました。 (c)この借入金を巡る甲・乙の間のトラブルや、乙がコスト削減のために自ら備品の生産を開始したことから、甲は、今後乙の事業への協力はできないと宣言し、さらに乙を契約違反(break of contract)で訴えるとともに、前記特許及び特許譲り戻しを求めて裁判を提起しました。 (d)乙は、特許及び特許出願の譲り戻しの条項の意図は、乙が合意を破棄(breach)した場合に甲の利益を保護することであると主張しました。そして、この事件で、合意を破棄したのは甲であり、こうした場合にまで特許及び特許出願を譲り戻すことは、意図されていなかったと反論しました。 (e)地方裁判所は、甲のいずれの主張も退け、これに対して甲は控訴しました。 (f)控訴裁判所は、損害賠償に関する原判決を肯定し、特許出願等の譲り戻しに関して原判決を取り消しました。 (g)控訴裁判所は、“イリノイ州のフォー・コーナーズ・ルールの下では、仮に文書が不明瞭(unambiguous)でなければ当事者の義務の範囲は、外的証拠を参照することなく、契約の文言の範囲内で決定しなければならない。”と判示しました。 そして仮に甲が主張する意図が本合意に存在しても、書面には、そうしたことは記載されていないから、その主張は採用できないと結論しました。 |
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