[判決言い渡し日] |
1996年4月23日 |
[発明の名称] |
インベントリーの管理及びレポートのシステム |
[主要論点] |
クレーム(特許出願人が発明の保護範囲を特定するために提出する書面)中の用語の意味に関して、陪審が採用した定義を不当として、裁判官が評決を覆し、自ら当該用語の定義を判断し、その定義に従った評決を出すように陪審に指示することは正当か否か。 |
[判例の要点] |
最高裁判所は、特許クレームの用語の解釈(construction)を陪審イシューであるという原則は、米国が英国の判例法を引き継いだ時点において、コモンロー上で確立されていなかったことを確認し、当該用語の解釈が裁判官イシューであることを確認しました。 |
[本件へのあてはめ] |
(a)上告人であるMarkmanは、ドライクリーニングのプロセスに亘って衣服を追跡するシステムに関して特許権を有していました。 (b)このシステムは、キーボード及びデータプロセッサを用いて、光学的検知器で読み取り可能な取引記録を発行するものです。この特許のクレームによれば、Markmanの装置は、次のことができました。 ・全体としてのインベントリーを維持すること。 ・インベントリーへの偽り(spurious)の追加を検知して場所を特定(localize)すること。 (c)被告であるWestviewの製品もキーボードを及びプロセッサを使用するものであり、光学的検知器で読み取り可能なバーコード付きのチケットにドライクリーニングの代金をリストとして出力することができました。 (d)この侵害訴訟において、陪審は、クレーム中の文言についての専門家証人の証言{クレーム中の“インベントリー”は“cash inventory”を意味する旨の主張}を聴取して特許権が侵害された旨の評決を判示しましたが、裁判官は、この評決を覆し、裁判官自ら認定した用語の定義{“インベントリー”とは“cash inventory”だけではなく、物理的な物(先端物)の出入りを含む}に従って、評決を出し直すように陪審に指示しました。 何故ならば、特許出願人自身が記載した発明の説明(明細書)には、お金の出入り以上に、物理的な物(洗濯物)の行方をドライクリーニングの各行程に亘って追跡することが主要事項としてされていたからです。 (d)原告は地方裁判所の決定に対して控訴しましたが、控訴裁判所は元判決をしました。 原告は最高裁判所に対して上訴(サーシオレイライの請願)を行い、最高裁判所は、この上訴を認めました。 (e)最高裁判所は、過去の英国の判例群を精査した結果として、米国が英国から判例法を引き継いだ時点において、特許用語のイシューを陪審の仕事にする旨の判決はなかったと結論し、原判決を支持しました。 |
[先の関連判決] |
[後の関連判決] |
TEVA PHARMACEUTICALS USA, INC., v. SANDOZ, INC.,
(No.95-26) |
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