[判決言い渡し日] |
1968年1月19日 |
[発明の名称] |
ワイヤー切断装置 |
[主要論点] |
ある新技術を開発して提供する契約(新技術に関してライセンサーが特許出願したときには、当該特許に対してロイヤリティフリーのライセンスを許諾することを含む)が終了した後に、ライセンサーによって取得された特許(“After-acquired
patent”という)に対して黙示ライセンスを認めることの是非 |
[判例の要点] |
新たに開発された技術の実施に支配的な影響を有する基本の特許(dominant
patent)が存在することを当事者甲乙双方が知らずに、新たな技術を開発して提供する契約が締結されている場合であって、 契約書に、技術開発者甲が当該技術に関して特許出願して取得した特許に関して、明示のライセンスが相手方乙に付与される旨が規定されていれば、 前記契約の終了後に、甲が前記基本特許の所有者丙から当該特許を譲り受けたときに、この基本特許に対して黙示ライセンスが乙に対して与えられます。 但し、契約書にそうした黙示ライセンスを与えない旨が明記されている場合には、この限りではありません。 |
[本件へのあてはめ] |
本件において、甲は、乙(米国政府)との間で「ワイヤー切断装置」の開発提供の契約を締結し、実際に装置を開発するとともに、特許出願してパテントを取得しましたが、製品の提供に関しては、入札により、別の事業体が担当しました。 甲は、契約の終了後に自分の特許発明が利用している第三者丙の基本特許の存在に気付いて丙から当該特許を譲り受けた上、乙による装置の使用は基本特許の侵害であるとして提訴しました。 訴訟では、甲の行為は禁反言(エスペットル)により禁じられるものであって乙を救済するために黙示のライセンスを認めるべきかどうかが争われました。 甲は、訴訟において、前記契約が終了するまで、基本特許の存在を知らないので、いわゆる不実の表示をしておらず、禁反言に相当しないと反論しました。 裁判所は、禁反言の原則には様々な態様があり、不実の表示をしていないから、甲の行為が許されるわけではないとして、甲の主張を退けました。 |
[先の関連判決] |
Curran v. Burdsall(20 F. 835) |
[後の関連判決] |
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