[判決言い渡し日] |
昭和61年3月24日 |
[発明の名称] |
解凍・洗浄槽 |
[主要論点] |
“A・B”という表現の解釈と意見書中の陳述に基づく禁反言の適用 |
[判例の要点] |
請求の範囲に記載された“A・B”という用語の解釈に関して、意見書において、Aの機能及びBの機能の双方を有することを前提とする主張があるときには、仮に詳細な説明において“A以外、例えばBにも用いられる。”という表現があっても、その主張に矛盾する権利範囲を主張できない。 |
[本件へのあてはめ] |
@明細書中の「冷凍食品の解凍・洗浄に用いられる解凍・洗浄槽に関するものである」及び「本考案は上記従来の問題点を解消して冷凍食品を極めて速やかに解凍することを主目的とし、同時に食品を極めて有効に洗浄することを目的とするものである。」という記載から、請求の範囲中の「解凍・洗浄槽」とは、解凍機能及び洗浄機能の双方を有するものを意味するものと解するほかはない。 Aまた本件の出願経過において、出願人である原告は拒絶理由通知(進歩性欠如に対するもの)に対して意見書で引用例に比して本件考案は三倍の解凍効果がある旨主張すると共にその旨明細書の補正をした後、登録されるに至った。その際に、原告は、本件考案が冷凍食品の解凍目的のみでなく、食品の洗浄目的にも特段の作用効果を有する旨の主張を何らしていないことが認められる。この出願経過を参酌しても、原告が実用新案登録請求の範囲に記載の「解凍・洗浄槽」を、解凍機能は有せず、洗浄機能のみを有する槽をも含むと考えることは到底考えることができない。 |
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