[判決言い渡し日] |
昭和44年3月25日 |
[発明の名称] |
写真植字機 |
[主要論点] |
引用発明と比較して有利な効果の参酌において効果自体がさほどでないという理由のみで進歩性を否定できるか。 |
[判例の要点] |
引用文献に開示がない発明の構成要素の効果がさまで高い技術的意味を有しないという理由で進歩性を否定するべきではありません。 |
[本件へのあてはめ] |
本件発明は、「暗匣体上に表示胴を回転可能に架設した」点において引用例と相違し、かつ、この構造に伴い「暗匣体の正面に支障物がないので、暗匣体内の捲着胴の装脱に至極便利である」という効果を奏するものであり、引用例記載のものにない構造をとることによりある特定の効果が期待される以上(何らの効果がないというのなら別であるが)、前記の構造上の差異を有する本件特許発明をもつて、第一引用例のものの単なる設計変更とすることは妥当ではありません。 必要がある場合に暗匣体の正面に支障物がないようにすることは単純な設計上の問題であるといえるかもしれないが、問題は、その目的のために具体的に如何なる構造を採用したか、それが具体的にフイルム捲着胴の装脱に至便であるという効果をもたらしたかどうかです。 そうした構造は、今日の写真植字機の製作技術においては、さまで高い技術的意味を有しないとしても、本件特許発明が横打ちをも可能にする兼用機であり、この種写真植字機において前記の構造を採用するためには他の光学的あるいは機械的な諸機構との調整結合の点において解決しなければならない種々の要素の存在することが窺えるからです。 |
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