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●平成14年(ネ)第5092号(特許権侵害行為差止請求/棄却)


禁反言/特許出願/進歩性/混合装置付バケット

 [事件の概要]
@本件特許出願の経緯
(a)原告は、名称を“混合装置付バケット”と称する発明について特許出願を行い、その審査において拒絶理由通知(進歩性の欠如)が発せられたために、補正書及び意見書の提出を行い、これにより当該特許出願について出願公告(特公平7−111063)が行われ、特許(第2115716号)を取得しました。

(b)原告は、自己の特許権を被告が侵害しているとして、侵害行為の差止請求等を求めて提訴し、第一審がその請求を棄却したため、控訴しました。

A本件発明の特許請求の範囲
  ア 掘削機械に取り付けて使用するバケットにおいて、
   イ 前記バケットは2枚の側板と
   ウ 前記各側板の底面に曲線を有して形成された底板とでバケット本体を形成し、
   エ 前記両側板間にはシャフトを設けてモーターにて駆動すると共に、
   オ 前記シャフトには所定間隔をへだてた位置に夫々ヒネリ角を有して複数の混合羽根を固定し、
   カ 前記各混合羽根の取付位置に対応した底板側には長手方向に沿って複数のスリット状開口部を備えたことを特徴とする混合装置付バケット

[本件発明]

zu1

[引用例2]

zu2

B本件発明の明細書の記載
(a)発明の目的
 「一般に道路の路床及び宅造地などでは、地中に電気及び電話等のケーブル、更には水道,ガス管等が埋設されており、それに伴ないマンホール等もある。したがって、これらの障害物のある路面に対して、スタビライザーにて改良工事を行なおうとすると、これらの埋設物を探知しながら作業をしなければならず、埋設物破損事故が発生し易いばかりか、作業効率も悪くなる。又、安全上確認を必要とする埋設物の周辺では、混合作業がゆきわたらないために未処理部分が多く残り、工事の確実な施工ができない欠点を有している。本発明は上記欠点を解決するためになされたものであり、効率的でかつ合理的な土質改良作業の可能な混合装置付バケットを提供することを目的としている。」

(b)発明の作用
「【0011】次に作用について説明する。図9はバケット本体を路床内にさし込んで、図示A方向に移動した場合を示し、バケット本体内に土が取込まれた状態である。なお、固化剤については路面上に所定量撒いておいてバケットにて土と共に取込む方式以外に、シャフト11を噴射管として利用し、外部にある固化剤供給源に接続してシャフト11の周縁に設けた孔から噴射しても、あるいはバケット内の所定位置(例えば18として示す噴射管)からバケット内に噴射するようにしてもよい。この場合、取込まれた土砂は先ず破砕板14によってヒネリを加えられ、粗大な玉石やコンクリート塊が排除される。次いでバケット内に入ると混合羽根16のヒネリによっても排除される。

【0012】図10は掬い上げる工程であり、前記したように破砕板14と混合羽根16によってヒネリが2段に加えられた土は、底板3に穿たれた開口部17を介して、混合された状態で一部は後方に排出される。この場合、全部が開口部17から排出されるものではなく、残りは図11の排土工程にて排出される。上記実施例によれば開口部17は、混合羽根に対応して1:1に設けるものとして説明したが、これに限定されるものではない。むしろ1:1に設けることなく、その開口部位置及び大きさを変えることにより、より混合効率を向上させることが可能である。」

(c)発明の効果
「以上説明したように、本発明によれば掘削バケットの底面の所定位置に開口部を設けると共に、バケット内に混合羽根を設ける構成としたので、以下に列挙する効果を奏する。

・混合精度が高く、効率的な作業ができる。

・混合羽根の遠心力によって振切られた小石,ガラ,巻付いた粘性土は開口部から排出されるため、ブレーキ作用がなくなる。

・ ヘドロ,細砂などの流動性の高い軟弱土は、混合と排出がスムースに行なわれるため、作業効率大となる。

・上記に伴ない流動性のある軟弱土の場合は、バケットを土中に突込んだまま水平に移動するだけで、掘削,排出の一連の作業工程が完了し、時間短縮となる。

・取込まれた土は破砕板のヒネリと混合羽根のヒネリとを逆にすることにより、混合精度が向上する。

・バケット内の任意の個所に噴射専用の装置を設けて、固化剤を外部より一定供給するため、固化剤の散布と混合が同時にできる。」

C本件特許出願の審査の経緯
(a)原告は、特許庁に対し、平成3年1月22日、本件特許出願をしたが、その際の特許請求の範囲は、以下のとおりであった。

zu

 【請求項1】
 「掘削作業に使用するバケットにおいて、前記バケット内にはモータによって回動する混合装置を設けると共に、噴射装置を設けて外部にある固化剤供給源に接続し、かつモータの回転数を調整可能としたことを特徴とする混合装置付バケット。」

 【請求項2】
 「バケット本体の底板には所定数の開口部を設けたことを特徴とする請求項1項記載の混合装置付バケット。」

(b)この特許出願に対し、特許庁審査官は、平成6年11月8日、
・バケットに開口部を設けることは、乙7(実開平2−89041号)に開示されている、
・地盤改良に用いられる装置に噴射装置を設けることは周知である
との理由から拒絶理由通知を行った。

(b)原告は、特許庁に対し、同年12月26日、特許請求の範囲を前記第2の1(1)カのとおりとする手続補正書及び意見書を提出した。意見書の中で原告は以下の通り述べている。

ア 第2引例(乙7、以下同じ。)のものは、バケット裏面の中間部に格子部を設けているが、作用的にはなはだ疑問である。一般に土質改良するための改良対象土は、土質が軟弱である。更に詳しく言えば含水性があって粘性を有しているのが普通である。この種の改良対象土をバケット内に取り込んで攪拌体にて攪拌したとき、土壌改良剤と混合されたものが、格子部から後方に抜けなければならない。しかし引例の第1図に示されるように攪拌体19が回転し、これによって遠心力にて格子部に取り込んだ改良対象土は格子の横棒にてことごとく排出を阻止されて目詰りを起こし、排出不能になることは明らかである。なんとなれば排出力は、格子部の設けられた全周面長に均等に作用しており、これが格子を構成する各横棒で阻止されているからである。

イ 本件発明は
(イ)シャフトに対して混合羽根を所定間隔に複数個設けたこと、
(ロ)混合羽根はヒネリ角を設けてシャフトに取り付けたこと、
(ハ)底板側に設けた開口部は底板の長手方向に沿ってスリット状としたこと、
(ニ)スリット状の開口の位置は混合羽根の取付位置に対応して設けたこと、を骨子とするところ、
(イ)、(ロ)があるからこそ、取り込まれた改良対象土は、所定量が充分に混合され、かつヒネリ角をもって移送されるため、混合羽根からの土類の剥離が容易となり、
(ハ)があるからこそ遠心力による排出力を阻止する障害がなく
(ニ)があるからこそ混合羽根によって混合された改良対象土の移送先が確実になって排出の容易性を達成できるものである。

(4)本件特許出願は、平成7年11月29日出願公告され、平成8年12月6日登録された。

D争点
 (1) 被告製品は構成要件ウの「底板」を備えているかどうか。
 (2) 被告製品は構成要件カの「スリット状開口部」を備えているかどうか。
 (3) 被告製品は構成要件カの「各混合羽根の取付位置に対応したスリット状開口部」を備えているかどうか。
 (4) 争点(1)ないし(3)に関して原告が被告製品は構成要件を備えていると主張することは、禁反言の法理に反するかどうか。
 (5) 損害の発生及び数額

E原審の判断(要旨)
[争点(1)について]原告は、被告製品において、別紙物件目録の添付図面のBで示された部分が、「底板」であると主張するが、証拠(甲4の1ないし6、乙11の1ないし6)によると、このBの部分は、ほぼ直線状であるうえ、一定量の土を保持することができるような形状にもなっていないと認められるから、この部分は、「底板」に当たらない。

[争点(2)について]「スリット」とは、「光線または粒子線の幅を制限するための細い隙間、細隙、衣服の長い切り込み」を意味する(広辞苑第5版1453頁)から、「スリット状開口部」とは開口部が細長い隙間となっているものを指すと解される。…さらに、原告は、本件特許出願の過程において、本件発明は、複数の縦棒と複数の横棒とからなる格子状の開口部を有する引例(乙7)記載のものとは異なる旨主張している。…被告製品のバケットの開口部Hは、複数の縦棒と複数の横棒とからなる格子状となっており、空間部の面積が広いことが認められるから、細長い隙間とは言い難いものである。…さらに、被告製品は、複数の縦棒と複数の横棒とからなる格子状の開口部を有する点において、原告が本件特許出願の過程において、本件発明とは異なるものとして除外した構成を有している。そうすると、被告製品の開口部Hは、「スリット状開口部」に当たるということはできない。

zu

[争点(3)について]
・本件特許出願の当初の特許請求の範囲は、混合羽根の取付位置とスリット状開口部との関係を限定しないものであったところ、後に補正をして、「混合羽根の取付位置に対応したスリット状開口部」と、混合羽根の取付位置とスリット状開口部との関係を限定したこと、

・本件明細書の【実施例】の記載は、特許出願当初から存した記載であること、

・本件明細書は、上記補正においても、【特許請求の範囲】と【課題を解決するための手段及び作用】を補正したのみで、実施例については、補正されなかったこと、

・「混合羽根の取付位置に対応したスリット状開口部」は、文字通り理解すると、混合羽根の取付位置にスリット状開口部が1:1で対応していることを意味するものと認められること
 を総合すると、上記の本件明細書の【実施例】の「これに限定されるものではない。むしろ1:1に設けることなく、その開口部位置及び大きさを変えることにより、より混合効率を向上させることなく、その開口部位置及び大きさを変えることにより、より混合効率を向上させることが可能である。」との記載は、本件発明の実施例についての記載であるとは認められない。

F控訴人(原告)の主張
(a)「底板」の存在について
 本件において、「底板」とは、バケット内に土を保留する機能を持つ鉄製の部材のことである。
 別紙「作業時におけるバケットの動作」と題する図面(以下「動作図」という。)におけるように、バケットの動作の第一段階で掘削されてバケット内に保留された土は、バケットがリフト(上昇)及び旋回の動作をするとき、動作図符号(1/3)及び同(2/3)の板が落下防止の「底板」として作用しており、また、スリット状開口部Hからも、混合羽根の回転がなければ、土は排出されない。
(注…1/3は格子の縦棒部分、2/3は格子の横棒部分である。)
 したがって、被控訴人製品においては、動作図符号(1/3)、スリット状開口部H及び同図符号(2/3)に該当する部分が、「底板」を構成しているのである。
 被控訴人は、動作図符号(1/3)がバケットの爪を支持する「前部板」、同(2/3)がアームを支える「後部板」である、と主張している。
 アームを支える「後部板」とは、動作図符号Sの、モーター格納部材を構成する箱の一部である。被控訴人が主張する、動作図符号(2/3)ではない。
 また、前記のとおり、被控訴人が「前部板」と称する動作図符号(1/3)の部分は、土を保留する機能を有しているから、掘削用の爪が取り付けやすいように加工した「底板」と解するべきである。

(b)スリット状開口部」の存在について
 原判決は、被控訴人製品の格子状開口部の1か所当たりの開口面積と形状が、控訴人製品のスリット状開口部の長方形の開口部とどう違うのか何の説明もしておらず、不当である。
 本件発明において、バケット内で混合された土塊は、混合された段階で、常に十分に破砕細粒化されているとは限らない。しかし、そうではあっても、混合された土塊は、混合羽根の回転遠心力により、スリット状開口部の縦部材鋼板の厚部分に衝突して輪切りにされた状態に切り裂かれ、破砕細粒化して、底板長手方向に穿たれた長方形の開口部より排出されるものである。
 このような、混合土塊が底板の縦部材に衝突して破砕細粒化される状況をとらえて、混合羽根の回転方向に順列した「長方形」の「スリット状」の開口部、と表現したものである。「長方形の開口部」であることが重要なのである。上記のような形状が、本件発明の作用効果を発揮する上で最適であることは、多くの現場で証明されている。
 「格子」とか、「スリット」とかの用語にとらわれるべきではない。

(c)「スリット状開口部」と混合羽根による、土の混合排出の関係について
 原判決の認定は、被改良土が、乾燥された流動性の高い砂質性のものであることを前提としてのみ認められるものである。しかし、この前提が、誤りなのである。本件特許が対象としている被改良土は、主として、水分を含んだ軟弱土であり、実際にもそのような土が、被改良土となっている。被改良土がこのような軟弱土である場合、バケット内の軟弱土は、混合羽根の回転がなければ、開口部から排出できないから、図10の段階で「土のほぼすべてが格子状の開口部から排出され」る、ということはない。

(d)開口部と混合羽根の対応について
 本件明細書には、その実施例において、「上記実施例によれば開口部17は、混合羽根に対応して1:1に設けるものとして説明したが、これに限定されるものではない。むしろ1:1に設けることなく、その開口部位置及び大きさを変えることにより、より混合効率を向上させることが可能である。」(甲第1号証2頁4欄46行目〜3頁5欄1行目)と記載されている。…本件発明の混合羽根の構造、動作及びその作用効果(混合土を斜め方向に撹拌混合し縦部材との衝突の機会を多くし、土塊の細粒化をなす。)からは、開口部が底板の長手方向に長方形である限り、混合羽根と開口部が1:1に対応している必要はない。

 [裁判所の判断]
@裁判所は、「底板」の存在について次のように認定しました。
 本件発明を特定する特許請求の範囲には、「底板」につき、
・「前記各側板の底面に曲線を有して形成された底板」、
・「前記各混合羽根の取付位置に対応した底板側」、
・「前記各混合羽根の取付位置に対応した底板側には長手方向に沿って複数のスリット状開口部を備えた」と記載され、
また、本件明細書の【課題を解決するための手段及び作用】には、
 「前記バケットは2枚の側板と前記各側板の底面に曲線を有して形成された底板とでバケット本体を形成し、・・・前記各混合羽根の取付位置に対応した底板側には長手方向に沿って複数のスリット状開口部を備えたものである。・・・混合羽根によってヒネリが加えられた土は、底板に穿たれたスリット状開口部を介して、一部は後方に排出される。」と記載されている。
 上記のとおり、本件明細書の記載では、「底板」は、
 側板との位置関係、曲線という形状、混合羽根の取付位置に対応したスリット状開口部の存在、
 の観点から記述されており、控訴人の主張するような、「土の保留作用」の観点からこれを定義づけた記載は、【実施例】の記載まで参酌しても、見いだすことができない。
 本件発明を特定する特許請求の範囲で用いられている用語の一般的意味を無視ないし軽視し、かつ、土の保留機能の有無の観点を重視して、「底板」であるか否かを判断すべきであるとする控訴人の主張は、前提において既に失当である。

zu

A裁判所は、「スリット状開口部」の存在について次のように判断しました。
(a)控訴人の主張は、要するに、底板の長手方向ないし混合羽根の動作方向に沿って、長辺が存在する「長方形の開口部」があることに、本件発明の技術上の意義があり、この構成要件を満たす以上、それが「スリット状」であるか「格子状」であるかは実質的な差異ではない、とするものである。

(b)控訴人は、本件特許の登録を受けるに至る過程で、平成6年10月28日付けで拒絶理由通知を受けたのに対し、そこに示された引用例2に記載された技術と本件発明との違いの一つとして、前者のバケット底面の開口部が「格子状」であるのに対し、本件発明では、「底板側に設けた開口部は底板の長手方向に沿ってスリット状としたこと」を挙げている。
 発明の内容を解釈するに当たり、補正等、特許登録に至る過程を斟酌することは当然であって、控訴人が、補正で、本件特許の開口部が「格子状」ではなく、「スリット状」であるとした以上、「格子状の開口部」が、「スリット状開口部」に該当しないことは当然である(包袋禁反言の原則)
 控訴人が主張するように、底板に、一定の向きの「長方形の開口部」が存在することに、本件発明の技術上の意義があるとしても、本件特許出願の審査の過程及び本件特許の明細書の記載から、控訴人が、本件特許の構成要件がそのようなものであるとして、特許請求をしたと認めることができない以上、一定の向きを有する「長方形の開口部」を有することが、本件特許の構成要件であると解釈することはできない。

B裁判所は「スリット状開口部」と混合羽根による、土の混合排出の関係について次のように判断しました。
 控訴人は、その主張(本件特許が対象としている被改良土は主として水分を含んだ軟弱土であって、被改良土が軟弱土である場合、混合羽根の回転がなければ、開口部から排出できない)を裏付けるべき、軟弱土の具体的な含水性、粘性、実験結果等を明らかにしていないから、その当否はにわかに判断できない。
 しかし、本件明細書には、その【発明の効果】の欄に「・・・Bヘドロ、細砂などの流動性の高い軟弱土は、混合と排出がスムースに行なわれるため、作業効率大となる。C上記Bに伴ない、流動性のある軟弱土の場合は、バケットを土中に突込んだまま水平に移動するだけで、掘削、排出の一連の作業工程が完了し、時間短縮となる。・・・」(甲第1号証3頁5欄17行目〜22行目)と記載されており(中略)、
 これらの記載からは、そもそも、本件発明において被改良土と考えられているものが、軟弱土や、流動性の低い(粘性の高い)土に限定されていると解することはできない。

 (中略)
 原判決が、被控訴人製品において、「図10に記載されている混合工程において混合された土のほぼすべてが格子状の開口部から排出され」と認定したことに、何ら誤りはない。

C裁判所は、開口部と混合羽根の対応について次のように判断しました。
 本件特許の登録に至る経緯にかんがみれば、特許出願の当初の明細書においては、混合羽根とスリット状開口部が1:1に対応するもの以外のものも特許出願の対象となる発明とされていたものの、上記補正により、特許出願の対象となる発明は、混合羽根の取付位置に対応して、その位置にスリット状の開口部があるもの、すなわち、前者と後者が1:1に対応したものに限定されたと解するべきである。上記実施例中の記載は、これが補正により新たに加えられたものであるなら格別、当初からあったものであるから、単なる補正漏れと考えるべきであって、これにより、前記認定が左右されるものではない。

 [コメント]
@本件は、包袋禁反言が適用される事例の典型的なケースです。
 すなわち、特許出願の審査で進歩性違反の拒絶理由を回避するための補正書・意見書の対応を根拠として禁反言の原則が適用されています。
禁反言の原則とは

 特許出願人として格子状の開口部を有する引用発明に対して本願発明を差別化するために“スリット状の開口部”が発明の特徴の一つであると主張し、権利行使の際に係争物が“格子状の開口部”を有する物ですから、信義則に反する主張は許さないという禁反言の原則がぴったり当てはまるケースです。

A問題なのは、特許出願人が意見書で主張した相違点の一つが権利行使の際に禁反言の原則に引っかかったことです。
 特許出願人(権利者)の立場としては、複数の相違点を含む発明の構成全体として技術的意義があるのであり、今回問題になった相違点はそれほど重要でなかったということもあるかもしれません。
 しかしながら、外形的にその相違点を主張することで進歩性が認められたという事実がある限り、包袋禁反言の原則を免れることは難しいと考えるべきです。


 [特記事項]
 
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