商標出願と薀蓄の勧め/11月11日は独身の日 |
観念類似/商標の類否・商標調査/商標出願 |
最近新聞報道をチェックしていたところ、次のような記事が目に留まりました。 “中国では11月11日を「独身の日」と呼んでいる。この日は数字の「1」が4つ並び、独身を意味する「葉のない枝」を連想させるからである”(11月13日JBpress Premium)、 “(11月11日が)ネット通販の大バーゲンの日に変わったのは2009年から。寂しがりの独り身にネット通販の楽しみを提供しようとネット通販各社が取引セールなどのイベントを開催したのが始まりだ。アリババ集団はこの日を「双十一」と名付けて商標登録までしている。”(11月12日日経新聞) “それが一体なんだというのだ。”と思われる読者もおられるかも知れませんが、こうした薀蓄は、商標の実務(商標調査を含む)において意外と役に立つのです。何故かというと、或る言葉の観念は商標の類否判断に影響を与えるからです。商標の類似の態様には、聴覚による類似(称呼類似)、視覚による類似(外観類似)、そして知覚による類似(観念類似)があると言われています。例えば「遊技用器具」を指定商品とする「名奉行金さん」なる商標が先願登録商標「遠山の金さん」に類似するとして商標登録を取り消されるという事例がありました(→平成22年(行ケ)10152号)。歴史上の人物である「遠山金四郎」及び時代劇等で知られる「名奉行として知られる遠山金四郎」との観念を生じさせるからであります。しかしながら、これも“名奉行遠山金四郎”という観念が判っていなければなりません。ある言葉に関して商標調査をするときに、その言葉に関して、商品の需要者層が認識する観念を理解していれば、もう一歩踏み込んだ観点から商標調査を行うことができるのです。言葉の観念は国によっても異なりますから、外国への商標出願に先立って商標調査をするときに、この言葉にはこういう意味がある筈だから類義語の商標がないかも調べて欲しい、と言えば商標調査の精度が向上するはずです。 近年では、中国の商標出願の出願件数も著しく増加しており、そうした知識が役立つ日のために、今日も薀蓄・雑学を求めてニュース記事を漁っています。 |
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