タイで音や香りを商標登録の対象へ |
音響商標・香商標/商標調査・登録主義/商標出願 |
11月17日の報道でタイ商務省知的財産局が商標の保護対象を「音」及び「香」にまで拡大するという記事がありました。日本でも保護対象を拡大する商標法改正が行われ、来年には施行される予定です。 いよいよ世界的に音響商標等を保護する傾向が強まっています。音響商標等を古くから保護している国は米国です。米国では、例えば久光製薬の「ヒ・サ・ミ・ツ」という音響商標が登録されています(78101339)。この音響商標は、米国特許商標庁のホームページの音響商標のページ(Trademark "Sound Mark" Examples)で聴取可能です。 http://www.uspto.gov/ trademarks/soundmarks/ 米国の商標法は、使用主義(現実の使用により業務上の信用を蓄積した商標に商標権を認め、商標の登録は商標権の存在を確認するものに過ぎないという主義)を取っており、音響商標や香り商標を保護対象として認めやすいという事情があります。何故なら、商標権を主張する以上は、需要者の間に信用を蓄積している商標が存在しているはずであり、その商標が置かれた具体的な実情に即して、この商標は保護すべきであるかどうか、ということを裁判官が判断すればよいからです。他方、日本の商標法は、登録主義(商標の使用の意思に基づいて商標登録を行い、登録により商標権が発生する主義)を採用しています。換言すれば、商標出願の審査の段階では未使用でもよいのですから、登録の要件を予めきちんと決めておく必要があります。使用例の少ない音響商標や香り商標に関して予め登録要件を規定することは簡単なことではなく、そのために、日本では長らく音響商標等は登録の対象外となっていました。 しかしながら、商標法の改正が決まった以上、保護対象の拡大は企業活動に大きな影響を及ぼすことになります。例えば商品販売サイトで使用される効果音などです。商標法の判例では、商標の類否は、外観、観念、称呼等によって需要者等に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察して判断するとなっており(→昭39(行ツ)110号しょうざん事件)、商標調査においても判例の考え方に照らして類否を判断します。上述の久光製薬の音響商標などは、普通の商標にメロディーが付いた商標であり、観念や称呼があるので、判り易いですが、言語でない音響商標もあるので、商標調査等は慎重に行う必要があるでしょう。 |
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