著作権の非親告罪化
|
パロディ/非親告罪化/著作権 |
最近、TVなどでTPPの交渉がいよいよ大詰めの段階に入っている、知的財産分野の分野が論点となっているという報道がなされています。 具体的な論点としては、著作権の保護期間の問題などがあります。また一頃は著作権の非親告罪化も論点になっているというと記事をよく見かけましたが、その後どうなったのかが気になるところです。 著作権の非親告罪化は古くから議論されているところです。 判例では、いわゆるパロディは著作権侵害になるという立場をとっています。例えば「チーズはどこへ消えた?」というベストセラー作品のパロディ「バターはどこに溶けた?」の出版社が訴えられた事件などがあります。「ああ、あれの真似だね。」と直感されるのがパロディのパロディたる所以です。 裁判所の考え方は、「自己の著作物を創作するにあたり、他人の著作物を素材として利用することはもちろん許されないことではないが、右他人の許諾なく利用することが許されるのは、他人の著作物における表現形式上の本質的な特徴をそれ自体として直接感得させないような態様においてこれを利用する場合に限られる。」ということです(最高裁判所/昭和51年(オ)第923号/「モンタージュ事件」)。この“表現の本質的特徴の直接感得”というのが、要するに“ああ、あれの真似か。”と連想することなのです。 いずれにしても、こうした規制を権利者自身が訴訟を起こすまでもないと考えている場合にまで及ぼすべきかどうかということが議論となるのです。 特許法においても、特許出願の明細書の実施例にのみ記載されており、特許請求の範囲に記載されていない発明を第三者が実施することは自由です。公衆の自由実施に委ねるのが特許出願人であると考えられるからです。それと同じように、著作権者の場合にも同じようなことがあるでしょう。自分の著作物が世間の話題となることを期待して個人がパロディを発表する程度であれば許容するが、コピーやパロディを商品化して利益を得ているとか、パロディなどによって自分の作品の意図が揶揄されている段階となると具合です。 しかしながら海賊製品を取り締まるという立場からは、いちいち権利者の提訴を待つまでもなく、非親告罪化して一律に取り締まる方が有利であることは確かであります(その2に続く)。 なお、不正競争防止法でもパロディは問題となります。例えば平成23年11月には北海道産のチョコレート菓子「白い恋人」の製造メーカーが、大阪産の焼き菓子「面白い恋人」の製造販売に対して差止を求めたという事件があります(和解で決着)。 |
ニュース見出しへ戻る |