今岡ニュース

2014年9月11日(木曜日) 特許ニュース

ビジネス裁判所


ビジネスと特許出願の明細書

9月3日の日本経済新聞の記事として、最高裁は2021年をメドに、知的財産や破産などビジネスに関連した訴訟を専門的に扱う裁判所庁舎を新設する、知的財産高裁や東京地裁の担当部門をそこに移転して「ビジネス・コート」と位置付けるという報道がありました。

これだけでは、具体的にどういうコートを目指すのかがまだよく判りませんが、ビジネス訴訟に関連する情報を集約して裁判官が共有することを目指すというのであれば、これは世の中のニーズにあった制度であると思います。実際に、ビジネス界の新しい動きに対応して紛争を解決することは、実に難しい問題をはらんでいます。

例えばそうした事例の一つが通信関係のFRAND特許に基づく損害賠償請求事件です。

この裁判は、技術標準のために予め定められた条件(FRAND条件)で取消不能なライセンスを許諾する宣言(FRAND宣言)をした特許に関しては、信義則などに基づいて特許権の行使(主に差止請求権の行使)を制限するべきかどうかが争われたケースです(→平成25年(ネ)第10043号)。技術標準化、信義則、外国法令などさまざまな観点があり、おそらく一人の人間でこれら全てが得意分野という人はいないのではないかと思います。弁理士や弁護士は、自分の不得手な分野の依頼がきた場合には、“済みません。できません。”と兜を脱いで、それが得意な知り合いの同業者を紹介するということもできます。しかしながら、裁判官には“できません。”と言う選択肢はないのです。

我々弁理士も、いままでは特許出願の手続、特に明細書の書き手として専門知識を磨くことに熱心でしたが、それでは通用しなくなりつつあります。これからはビジネスの場面での明細書の活用ということを真剣に考える必要があると、再認識させられた記事でした。


 
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