ディスカバリー(情報開示手続)の負担軽減
|
特許出願/ディスカバリー |
米国でのディスカバリー(情報開示手続)が見直されるという報道が今月報道されました。 米国では特許侵害訴訟を含む民事訴訟において、訴訟当事者が相手側に対して情報を開示することを要求することができるディスカバリーという手続があります。情報提供を怠ると懲罰的賠償が課される可能性があるため、相手方から情報を吸い上げるための強力なツールとなっています。 例えば米国では特許出願人には審査に関連ある先行技術を米国特許商標庁へ提出する義務があります。特許出願をした後でも、対応する外国の特許出願の審査ででてきた先行技術まで米国特許商標庁に提出しなければなりません。 しかしながら、ディスカバリーで提出を求められる文書(電子メールなどを含む)の量の範囲は膨大であり(→E−ディスカバリー)、日本企業の場合には、それらの文章の大部分は日本語で書かれているために翻訳の費用が企業にとって大きな負担となります。 特に最近のアメリカの裁判事情では、膨大な量・範囲の情報のディスカバリーを要求して相手方の負担を過剰なものとし、有利な条件での和解を目指すというのが、戦術の一つになっていると言われています。 改正のポイントは次の通りです。 第1に開示の証拠類の範囲を制限することです。証拠開示の請求による利益が相手方の負担を上回るかどうかにより開示範囲を決めることになります。 第2にメールなどの電子情報保全に対する制裁を抑制することです。故意に情報を消した場合など一定の場合にのみ制裁が発動します。 もっとも現状ではディスカバリーの見直しの作業が進んでいるという段階で、最終的にどのようになるかはまだ分かりません。今後の動向を注視したいところです。 |
ニュース見出しへ戻る |