体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
ディスカバリー |
意味 |
ディスカバリーとは、米国の民事訴訟において、訴訟の相手方に予め訴訟に必要な情報の開示を求める制度です。
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内容 |
@米国の訴訟においては、証拠を隠して相手の主張を事実上不可能にすることは、フェアでないと考えられています。そのため、予め相手方から強制的に情報を収集する手段として、ディスカバリーが採用されています。原告・被告双方の主張に必要な情報を全て裁判所に提出し、公正な裁判を行うべきという、英米法の“衡平”の理念によるものです。
衡平性を担保するためにディスカバリーの手続が規定されています(→ディスカバリーの手続とは)
Aディスカバリーの範囲は非常に広範であり、関係者から証言を聞き取る(→デポジションとは)だけでなく、電子メールなども含まれます(→E−ディスカバリー)。膨大な電子データを弁護士が調べて必要な情報を採取するため、否応なしに裁判費用が膨らみます。
B故意に情報を提供しなかった場合はもちろん、情報の管理の悪さから情報が出なかった場合でも、裁判上で不利に取り扱われます。従ってディスカバリーが要求されたときに情報の所在が分るように日頃からの情報の管理が重要です。
C民事訴訟手続の大半がこのディスカバリーに費やされ、訴訟当事者にとって大きな負担になっています。しかしながら、この負担を軽減させようとする動きがあります。
D特許訴訟でディスカバリーが大事になった事例として、Qualcomm事件があります。これは特許の技術標準に絡んだ問題です。技術の標準化を進めた団体の構成員は、標準化による利益享受する半面、当該特許を求める者に対してライセンスを与える必要があります。特許権者は、特許を採った後で技術標準化が行われたと主張しましたか、本当にそうであるのか、のではないか、という疑問を生じてを受けて、特許出願の経過を含めて膨大な資料が調べられました。
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留意点 |
日本にも侵害訴訟における書類の提出の手続(特許法第105条)があります。しかし、侵害が行われたことの疎証が必要となります。従ってディスカバリーに比べるとハードルが高いと言えます。
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