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 実用新案に関する専門用語
  

 No:  001   

特許出願以外の保護/実用新案/無審査主義

 
体系 特許出願以外の保護
用語

無審査主義とは(実用新案法)

意味  実用新案法における無審査主義とは、権利付与の際に、方式的要件及び基礎的要件のみを審査し、実体的要件の審査をしない主義をいいます(実用新案法第14条)。


内容 @特許出願は、権利付与に先立って、新規性や進歩性などの実体的要件を審査します。そして実用新案登録出願についても、平成5年までは同様に審査主義の下で権利を付与していました。

しかしながら、近年の出願件数の増大により審査の遅延を生ずるとともに、社会事情の変化により考案のライフサイクルが短期化して、小発明である考案を簡易に保護する実用新案制度の趣旨を達成することが困難になっていました。そこで、平成5年改正で、ライフサイクルの短い考案や出願後に直ちに実施される考案を早期に保護するために平成5年改正で無審査主義に移行しました。

Aパテント(特許)の世界では、無審査主義から審査主義への移行が大きな歴史の流れであり、一見すると、実用新案法における無審査主義の流れは歴史の流れに逆行しているようにも思えます。しかしながら、そうではないのです。

(イ)我国のパテントの保護体制は、同種の保護対象に関して特許制度と実用新案制度との並存することに特徴があり、特許出願について審査主義を残しながら、実用新案登録出願に無審査主義を導入したことに意味があるのです。

(ロ)特許制度及び実用新案制度の2本立ての体制を導入した当時、立法者は、特許出願に関しては、公知の技術から「容易に」創作できるものを、また実用新案登録出願に関しては公知技術から「極めて容易に」創作できるものを、保護対象とし、進歩性のレベルに差を設けることで、2つの制度の差別化を図ろうとしました(→考案の進歩性)。しかしながら、この試みはあまり上手く機能しませんでした。

(ハ)特許出願及び実用新案登録出願のうち前者に審査主義を、後者に無審査主義を採用することで、技術的なアイディアを創作した者は、自らの判断により、重大な技術革新である創作をしたときには特許出願を、簡易の創作をしたときには、実用新案登録出願を選択することができるようになりました。これは、実用新案制度に新しい意味づけをしたということもできます。

B特許庁は、実用新案法に導入された無審査主義を“無審査登録主義”と呼んでいます。基礎的要件を審査する点において、伝統的な意味での無審査主義(方式的要件のみを審査し、実体的な要件を審査しない主義)とは意味合いが異なるからです。

C無審査登録主義の意義をより高めるために、伝統的な意味での無審査主義の弊害を除去するための制度が併せて導入されています。

(a)実用新案技術評価制度の導入
 何人も実用新案技術評価の請求することができ、これにより、権利行使前に権利の信頼性を確認することができます(実用新案法第12条)。

(b)実用新案権の行使の制限
 実用新案権者は、権利行使に先立って上記実用新案技術評価を請求し、実用新案技術評価書を提示して警告をした後でなければ、権利行使ができません(実用新案法第29条の2)。

(c)実用新案権の行使に伴う責任の強化
 権利行使後に登録が無効となった場合には、一定の条件の下で原権利者に損害賠償責任が生じます(実用新案法第29条の3)。

(d)明細書の訂正の制限
 明細書の訂正は、請求項の削除に限られます(実用新案法第14条の2)。無審査主義の下で妄りに広い権利範囲が請求されることを防止するためです。

(e)訴訟手続の中止申立権の保障(旧40条の2)
  実用新案登録について無効審判が請求されていることを理由として訴訟手続の中止が申し立てられたときには、訴訟手続を中止しなければならない旨が定まられていましたが、平成16年改正により特許法第104条の3が新設されたことに伴い、この規定は削除されました。


留意点

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