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@特許出願による保護の対象は、物・方法のカテゴリーを問わずに発明全体であるのに対して、実用新案登録出願による保護対象は、物品の形状・構造・組み合わせ(以下「形態」という)に係る考案に限られています。
A「物品の形状」は外部から観察できるもの、「物品の構造」は物品の内部構造を含むものという違いはありますが、この両者を厳密に区別することにはあまり意味がないと考えられます。
創作の対象が“物品の形状・構造・組み合わせ”の何れに該当すれば、保護の対象となるからです。
従って意匠出願と異なり、物品の外形+物品の内部構造により成立する創作も実用新案登録の対象となります。
B外部から観察できる外形という意味で、実用新案登録出願における「物品の形状」と、意匠出願の対象である意匠とは共通しているようですが、前者は技術的創作、後者は美的創作という違いがあります。
(イ)すなわち、実用新案登録出願が保護しようとするのは“考案”であり、特許出願の対象である“発明”と技術的思想である点で同質です。
(ロ)従って実用新案登録出願にいう「物品の形状」は、技術的作用・効果を発揮して、技術的思想を成立させるものである必要があります。
(ハ)例えば特定の形状のインゴットであって、その形状により特別な作用・効果を生ずるという如くです。
(ニ)例えば合金の考案を素材の便宜的な形状(板状・棒状)と結び付けて実用新案登録出願をすることは回避するべきです。実質的に素材の考案に過ぎないからです。
B「物品の形状」には、立体的な形状(例えば断面多角形状とした転がりにくい鉛筆)や、平面的な形状(多角形状の定規)であっても構いません。
Cまた「物品の形状」は、物品の一部(例えばスプーンの柄)の形状でもよく、さらにスプーン・ナイフ・フォークを包括する集合的な物品又はその一部(食器の柄)の形状であっても構いません。
一定の形態から一定の技術的効果が発揮されれば十分だからです。
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