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@特許出願による保護の対象は、物・方法のカテゴリーを問わずに発明全体であるのに対して、実用新案登録出願による保護対象は、物品の形状・構造・組み合わせ(以下「形態」という)に係る考案に限られています。
こうした制限を課することが技術的思想の創作のうち裾野の部分を簡易に保護する実用新案法の趣旨に沿うからです。
Aここでの物品の構造とは、部材や要素が有機的に結合したものです。
B“物品”というと、一般には、動産を指しますが、実用新案法では、不動産も含みます。例えば“多目的円形競技状の球面状屋根”(実開平6−65574)、“立体交差水路”(実開平2−106026)などです。
C“要素”は、外観に現れない(目に見えない)物理的性質を有するものであっても構いません。例えば“磁性を有する手袋”(実開平5−70554)の如くです。
D“結合”と言っても、元素同士の結合である化学的構造を含みません。
そうしないと単なる材料の考案を保護してしまうことになるからです。
E実用新案法上の「構造」は、平面的なもの(表など)を含みます。
旧法の判決ですが、昭25年(行ナ)8号 「書類・雑誌等におけるカット装置の構造」事件は、書類などのカット(挿画)であって広告効果を奏するものであっても実用新案登録の対象となると判示し、その理由として次のように陳述しました。この見解は現行法にも引き継がれていると考えられます。
「実用新案法上の装置又は構造というのは、必ずしも機械器具その他立体的構成を有するものに限らず、登録例中に株式図表、計算表等があることで明らかに証明される様に平面的のものも装置であり構造であることは被告も肯定することと思う。本件考案が「カット」(挿画)であつても『実用ある』ものである以上、これを構造と認めて差支えなく、換言すれば一面挿画(カット)の性格を有し、他面実用新案法上の構造であっても矛盾はない。」
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