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@商標権を設定するための考え方として、使用主義と登録主義という相対する概念があります。
上記登録主義とは、実際の使用の有無を問わずに一定の要件を具備する商標を登録し、商標権を付与する主義であり、前述の使用主義と対立します。
A商標は、事業者が商品又は役務(以下「商品等」という)の識別に使用するマークとして選択されるものであり、使用される以前の商標自体には保護価値がありません。特許出願の対象である発明が技術的思想としての固有の価値を有するのとは事情を異にします。
Bそうした商標の特性を鑑みると、“業務上の使用を化体した商標”が保護対象なのであり、かつ、業務上の信用は現実の使用を前提として形成されるから、現実の使用を条件として商標権を付与すべきであろう。
これが使用主義の考え方です。商標法の原理にシンプルに対応した解釈です。
Cこうした現実の使用を条件として商標権を設定する方式では、商標の使用を開始する事業者にとっては大きな負担となります。
商標の使用に先立って他人の商標権に抵触するか否かをより慎重に調査する必要があり、また使用を開始した後に商標出願をしたところ、使用をすること以外の理由(例えば自他商品・自他役務の識別力がないなど)で出願を拒絶される可能性もあるからです。
特許出願の対象である発明の新規性・進歩性が先行技術との差異によって決まる絶対的な概念であるのに対して、上述の識別力は市場における商標の使用状況に左右される相対的な概念であり、折角コストをかけて商標を使用しても拒絶されるのでは、事業者にとってやりきれないことです。
そうした理由から提唱されているのが、上述の登録主義です。
D使用主義は、先使用主義に結びつき易い、登録は権利の有効性を推定させる一応の証拠に過ぎないなどの特徴を有します。 →使用主義の特徴
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